天后誕

大廟灣。今日は旧暦3月23日で天后誕(天后寶誕とも言う)。中国東南地方を中心に祭られている海神の誕生を祝う日だ。いいつたえによると天后(天妃、媽祖とも呼ばれている)は、906年福建生まれで、幼い頃からたぐいまれなる天気予報の能力があり多くの人を救ったことから、祭られるようになったという。
周囲を海に囲まれ、かつては漁業を生業としていた香港には天后廟が70か所以上あるという。多くは海に面した場所(もしくは近くに)にあるが、埋め立てがすすんだ結果、海辺から遠くなってしまったところもある。銅鑼灣の天后廟がいい例だ。


祭り見学は行ったことのないところへ行くいい機会だ。というわけで、今日は香港最古の天后廟(1266年建立)がある西貢のその名も大廟灣に行ってみた。ちなみに、歴史があるといわれている香港の寺や廟に行くと、驚くほど建物が綺麗だったり新しかったりして、本当に由緒ある寺や廟なのかと疑ってしまうことがある。日本なら由緒ある寺は、古いものを保存することに意義を見いだしているが、香港では由緒ある寺や廟には信者が多く、寄進も集まるため、つねに改修が行われていて建物が新しい。ある意味、正しい信仰の表現といえるのかもしれない。


行きは寶林から小巴だが、小巴乗り場は長蛇の列だった。4台目ぐらいでようやく乗車、この間すでに40分以上が過ぎていた。小巴の運転手が「すごく急いで運転して足が疲れるよ」というと、乗客も負けてはいない「ずっと立って待っていてこっちこそ足が疲れるぜ」とやりあっている。小巴は3台がピストンで走っていたようだが、3台は少な過ぎ。小巴は清水灣を通り過ぎて走り、少しすると終点。そこからは徒歩で海岸へ降りてゆく。途中からすでに線香の匂いがきつくなり、札(紙製)が散乱している。坂を降りていくと、右に廟が見える。廟は海に向かって建っており下に海岸が見える。まさに海神の廟の立地だ。この日は北角から大廟灣へのフェリーも臨時に動いているので、埠頭にフェリーが見える。
廟の前では線香をあげる人、小豚の丸焼きや果物などを供えて祈る人などでごったがえしていて煙い煙い。さらに海岸の方へ降りると銅鑼や太鼓が鳴って獅子や龍が舞っている。海辺にありがちな干物と、風車を売る屋台が出ている。珍しいのは鶏の飾りが売っていること(その謂れはよくわからないのだが)。
獅子舞や龍を見ているとだんだん雲行きが怪しくなってきたので、早めに引き上げることに。帰りは清水灣行き小巴に乗り、清水灣で小巴を乗り換えて将軍澳から帰って来た。小巴を待っている間に雨がパラパラと降って来た。清水灣からは歩こうと思えば歩ける距離だし、天気がよければ気持ちよさそうだ。次回は天気のよい時に行ってみたい。


家に帰り着いてしばらくすると激しい雨。明日は金像奨授賞式だが、やはり大荒れの天気予報。文化中心海側を封鎖して作った特設のレッドカーペットはどうなることやら・・・。