獅子山下:元洲仔之歌

《獅子山下:元洲仔之歌》郭峰、黄莎莉、盧寶華、郭峰一家 
方育平:監督 1979年 カラー 粤語 英語字幕


大埔元洲仔の船上で生活する一家の様子を淡々と描く。妻は内職仕事と4人の子供の世話。夫は時々陸に上がって仕事をしているが、小金ができるとすぐに賭け事で金をすってしまう。祖父は海でノリを採っている。船には発電機はなく、むせるような暑さでも扇風機は回らず、夜はランプで明かりをとる生活だ。夫は父とノリを採りながら「今度は少し長い期間陸で働き現金収入を得たい」と話し、出かけていく。子供は相変わらず泥の海で遊び、高みから海に落ちて怪我をして泥だらけになる。母は子供を裸にして洗ってやると、好奇心いっぱいの西洋人がカメラを抱えて通りかかり、おかまいなしに写真を撮っていくのだった。


「70年代政府は住宅に関する新しい政策を押し進めていたが、山肌に建つバラックや海岸で船を住まいにしていることろは随所に見られた」と解説にある。香港政府の住宅に関する政策は、1953年の石硤尾火事からはじまっており、1973年には香港房屋委員会が設立している。さらに少し調べると元洲仔はもともとは小さな島だったが、20世紀初めに陸続きになった。70年代末には大埔河の泥の浅瀬の上に建っていた住宅(舟屋)は、大埔の埋め立てが進んで無くなり、住民たちは三門仔漁民新村に移転させられたとある。この作品が撮られた1979年は、海岸もしくは水上で生活する人々が陸へあがる寸前ということになるのだろう。
2009.8.8@香港電影資料館「蛍影相随・戲・夢・人生―方育平回顧展」


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