歳月流情:孭得起

《歳月流情:孭得起》黄婉玲、黄佐賢、李坤、馮建中、梁合 
方育平:監督 1992年 カラー 粤語 無字幕


トンネルの料金係の女性(黄婉玲)は、ある日小巴から腰の曲がった老婆(梁合)が道路を掃いているのを見る。老婆に興味を覚え、彼女を付けていってみると、彼女を手伝っている男に出会う。男はいう、彼女は僕の母親じゃない。手伝っているだけ。みな僕が母親を働かせているというんだけど違うんだ。女性は糖水店の男(黄佐賢)と老婆の住まいを尋ねる。住まいは雨水は辛うじてしのげる道路の隙間。さらにそこでは隣に住む髭を蓄えた占い師(李坤)を知る。女性と男は2人を描いた舞台を製作して上演する。


まるで街の片隅に取り残された古い家屋のように、老婆も髭の占い師も社会の枠組みから外れてしまった人。それでも彼らは彼らの流儀で生きている。一見したら変な年寄りだろうし、ほとんど野宿と同じような住まいを見たら、かなりやりきれない気持ちになる。しかし監督の2人への視線には可哀想だとか、悲劇的だという感情はなく、ごく自然に2人の存在を肯定していってしまう。問題を定義するとか、訴えるという行為とは違って、より大きな世界観で2の存在を包み込んでいくと、2人の生き方は神々しく感じられて涙が出る。
2009.8.8@香港電影資料館「蛍影相随・戲・夢・人生―方育平回顧展」


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