「新舊《小城之春》公開座談会」

出席:黄愛玲、舒琪 司会:李焯桃 
於:香港科学館(夏日國際電影節)


費穆版と田壮壮版(邦題《春の惑い》)を続けてみた後の座談会。私は3時間半続けて同じストーリーのものを見るのがいやだったので、すでに見た田壮壮版はパスして費穆版だけを見た。

  • 費穆版は、呼吸をするように自然。短い時間に撮ったにも関わらず、中国の伝統的な文化や美術に対する理解がすばらしい。舞台劇的。
  • 田壮壮版では、脚本に問題あり。ヒロインの独白が無くなったことが致命的。
  • 田壮壮が《藍風箏(青い凧)》後(10年間映画製作を禁止されていた)、撮った作品が《小城之春》。なぜこの素晴らしい作品をリメイクするのか舒[王其]が問うと、「当時、映画でもテレビでもリメイクが流行っていた。特にテレビで流行っていた。小城之春もみながリメイクしたい作品の1つだった。変な奴にリメイクされるぐらいなら自分で撮ろうと思った」と冗談とも思える答えだった。
  • リメイクするには、さまざまな理由がある。その作品が好きだ、捧げるという意味や、商業的な理由などもあるが、リメイクでは新しい時代の考え方、ビジョンがなければならない。
  • 田壮壮は撮影中、毎晩、費穆版を見ていたという。従ってカメラはいいが、美術(家の構造、衣装など)、時代感、俳優などは費穆版に及ばない。
  • 第二次世界大戦後、中国が内戦に向かうという、希望がなく閉ざさせた状態を費穆版は非常によく表現している。
  • 今の俳優にこの時代の雰囲気を創り出すことは無理。服装ひとつにしても田壮壮版は当時を表現できていない。

と基本的に田壮壮にはきびしい意見。それほど費穆版が素晴らしいということで、さすが中国映画100本の1位。
この日は、この映画で妻を演じた韋偉が会場に来ていた。韋偉、80歳代だそうですが、お元気そう。生まれは蘇州らしいですが、中山の人ということで広東語でお話。90年代になり映画界に復帰していて《真心話》《小親親》に出演しているらしい。のちほど要確認。