金蓮花

《金蓮花》林黛、雷震、王莱、楊群 
岳楓:監督 1957年 電懋 
モノクロ 粤語吹き替え 無字幕


茶居で歌を歌う金蓮(林黛)を毎晩のように見に来る少爺(雷震)がいた。実は少爺は毎朝、金蓮の家の前までやってきていた。ある日、金蓮がそれに気づく。少爺は自分には許嫁がいるが、本当に好きなのは金蓮だと話す。その夜、金蓮が舞台に上がっていると、従兄がやってきて客席の少爺を連れて帰った。実はその日は少爺の婚礼の日だった。いやがる少爺を父は一括、嫁を娶らせた。嫁は見た目が金蓮にそっくりだった(二役)。しかしその夜、少爺は嫁に向かい兄妹になろう、自分には好きな人がいると話す。嫁は泣き崩れる。翌日、少爺は父親に罵倒され、外出禁止になる。そのころ、金蓮は客の1人の妻から夫を誘惑していると罵倒され、茶居を辞めさせられ、別の茶居で歌っていた。2か月が過ぎ、父が広西に出かけた隙を見て、少爺は金蓮の家にやってきた。2人は思いを確かめあうのだが・・・。


林黛の二役は方や不倫で悲恋、さらに金に眼の眩んだ母親に売られそうになり、方や無理矢理な結婚をして鬱になりいわばどちらも不幸。少爺はお坊ちゃまで無理矢理娶らされた妻にはいたく冷酷、従兄はなんでも金で解決しようとする。なんせ半世紀も前の映画、お話が古くさいのは仕方ない。林黛は快活で茶目っ気があり女っぽい金蓮と、温和で心優しい妻の二役で魅力全開。くるくると大きな眼を動かし涙を流して感情豊かな金蓮ははまり役。金蓮と少爺が金蓮の家の前でお互いの気持ちを確かめるシーンは、今見れば、誇張とわざとらしさの塊だが、こんな演技は林黛しかできないだろう。林黛は亞洲電影展で4回影后になっているが、この作品で最初の亞洲電影展影后を獲得している。
モノクロだが少爺の家の豪華さには眼を見張るし、嫁取りシーンの華やかな輿は興味をそそる。
2009.9.19@香港電影資料館「林黛」


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