笑聲涙痕

《笑聲涙痕》林黛、嚴俊、顧文宗、胡金銓、石磊、賀賓 
李翰祥:脚本 嚴俊:監督 1958年 
金龍 モノクロ 國語 無字幕


(國語無字幕のため、細かい部分は自信なし)。会社の会計(経理)係・陶(嚴俊)は、長年真面目に勤め上げ、范経理(マネージャー)からも評価されており、いずれは副経理だと告げられる。喜んだ陶は家族にそのことを話す。彼の家族は麻雀ばかりして怒ってばかりの妻、学業そっちのけでみえっぱりの桂如(林黛)、いたずらな弟(胡金銓)、さらに3人の小さな子供がいる。父の出世に喜んだ家族は、プレゼントを買って欲しいとねだった。翌日、会社へ行ってみると、副経理の椅子は外国帰りの胡に当てられており、董事長の決めたことだと言われる。家に帰ると家族は陶が副経理になったものと思って祝ってくれた。出世出来なかったとは言えない陶。
ある日、子供たちと山頂を散歩していたところ、陶は胡と女性(王莱)が一緒にいるのに出くわす。女性は実は范経理の妻で、胡とはただならぬ仲なだけでなく、董事長とも深い仲だった。2人を見た陶は、言われない伝票の間違いで会社をクビになってしまう。陶は家族には言えず、1人悩み新たな職を探すがなかなかみつからない。ある日、桂如は自分に思いを寄せている王に言い寄らせているところに胡が車で通りかかった。胡は桂如を車に乗せ、さらにパーティに誘った。喜んだ桂如は、胡に言われるままドレスを買ってもらい、董事長のパーティーへ行った。美人の桂如を一目見て気に入った董事長に、范夫人は仲を取り持ってやろうと持ちかける。家族を路頭に迷わすわけにはいかないと仕事を探す陶が最後に見つけた職は、なんと遊園地の見世物小屋の雑疑団のピエロの役だった・・・・。


途中までいったいどうやって物語りを収拾するのだろうと思って見ていたが、陶がピエロになったところで話が見えた(笑)。解説によると、この映画、元タイトルを《吃耳光的人》といい、この言葉は物語りの最後に陶が言う「在社會吃盡無形的耳光、不如出賣有形的耳光來得痛快!」(社会に於いて形の見えないピンタをくらうくらいならむしろ、びんたをくらうのを人に見せたほうが痛快だ)に由来する。
今回、嚴俊は皺を書き、髪に白いものを入れて老け役。林黛は、気の強いわがままな娘。髪型やお化粧、洋服などオードリー・ヘップバーン風かな。弟役の胡金銓はもちろん、後の胡金銓(キン・フー)監督、タイトルロールでは金銓と書かれている。
それにしても今回は、物語もさることながら、半世紀前の香港に見入った。尖沙咀の時計台、フェリー乗り場、山頂の盧吉道(いまも同じ状態)と盧吉道から望む香港の街、尖沙咀、中環、騎樓が並ぶ街並み、遊園地はやはり茘園(だと思う)などなど。どれもとても興味深かった。
2009.10.1@香港電影資料館「林黛」


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