杜琪峰の訴訟

スタントマンの陳碩は、03年に映画《大隻佬(マッスルモンク)》撮影時、インド人の吹き替え中に左肩を怪我、その後スタントが出来なくなり、杜琪峰(ジョニー・トー)と銀河映像(香港)有限公司を相手に500万香港ドルの賠償請求を起こしていた。この件はすでに1年以上断続的に審議がされており、裁判所は昨日(10月6日)、銀河映像の敗訴を言い渡した。しかし賠償金額は78万9千香港ドルであった。by 2009.10.7「東方日報」

03年《大隻佬》撮影時、スタントマンが飛び跳ねるシーンで怪我をして腕を折った。まず労働省から10数万の保証金が支給されたが、数年後になり相手方は民事訴訟を起こした。怪我のあと仕事ができず、性生活にも支障をきたしているというもので、500万香港ドルを要求し、相手側が勝った。
しかし杜琪峰は、「裁判結果に疑問を持っている。今回の民事訴訟は高院で審議されたが、判決文中の原告が提出した項目が信用できない。しかし事故が起これば、労資ともに責任があると思っており、今回の事件で会社は十分な賠償をしているが、再び賠償金を要求している。出された判例は不公平だと思う。これが今後判例となると、映画会社はますます経営が難しくなる。香港映画界では、社員は保険をかけられるが、エキストラやスタントマンは保険がかけられない。事故が起これば、十分な賠償をしたうえにさらに賠償を要求される。これでは今後、雇われる側は、雇う側のほんのひとことのいいまちがえでも訴訟を起こすがことできるようになってしまう。それは必ずしも正しい道理ではないと思う」と語った。
また「前後して600万香港ドルの訴訟費用と90万以上の賠償金を使っている。会社が10数年かけて稼いだ金額をすべて吐き出している。今後小さな会社は存続できるのだろうか。僕も映画会社を経営せず、監督だけやることもできるし、臨時に会社を作ってしまうこともできる。そうすれば、このようなことに遭遇した時に何も賠償しなくていい。しかし銀河映像は十数年の歴史があるんだ」と杜琪峰は語った。「弁護士ともう1度話し会う。今回の判決は確実に今後の香港映画産業に大きな影響を与える。僕のようにハリウッドへ行かず、香港に留まっている人は、もにと香港映画文化を保護しようと思っているのだから」。
また杜琪峰は、同業者には、仕事中の怪我などについては、すぐに弁護士を通して法律的に処理することを薦めている。さらに電影局は、保険や契約の問題、つまりはエキストラやスタントは保険がかけられないのは、雇われる側にとっても不公平だということについて、より注意を払ってもらいたいと話した。by 2009.10.9「文匯報」

この日、杜琪峰は特集が組まれている釜山電影節へ向け出発した。