同門

《同門》余文樂ショーン・ユー)、江若琳(エレイン・コン)、杜汶澤(チャップマン・トー)、黄貫中(ポール・ウォン)、恭碩良(ジュン・コン)、陳子聰(コンロイ・チャン)、官恩娜(エラ・クン)、阮民安(トミー・ユン)、梁俊一(アンソン・リョン)、蔡少芬(エイダ・チョイ)、惠天賜(オースティン・ワイ)、羅禮賢(ブルース・ロー)、馮克安 
邱禮濤(ハーマン・ヤウ):監督


南區は5人のヤクザによって長いこと平穏が保たれており、警察は手がだせない地区だった。しかし表面上は波は立たずとも、水面下ではみなの欲望と思惑が渦を巻いていた。
ある夜、5人のうちの1人JImmyが幇会の長老たちとの食事のため重慶飯店にやってきたところを何者かに撃たれた。JImmy哥狙撃されるの件は、すぐさま手下の伍寶(余文樂)と、台湾に行っている妻の華姐(蔡少芬)に知らされた。華姐は自分が香港に戻るまで伍寶に全権を委ねると長老の戴先(惠天賜)に伝えた。伍寶の元には同じくJImmyの手下の黒水(杜汶澤)がやってきたのを初め、珈琲(黄貫中)、木星(陳子聰)、沙紙(恭碩良)らが次々と誰がJImmy哥を撃ったのかと聞いてくる。みなこの気に乗じて、自らのシマを大きくしようと企んでいた。しかし文拯(梁俊一)だけは、はなぜか警官につかまり牢屋の中に入れられていた。伍寶は、珈琲や木星、沙紙さらに伍寶に全権が委ねられたことに不満を持つ黒水らを監視しつつ、JImmy哥狙撃犯を単独で探そうとするのだが・・。


ほとんど期待せず見たのだが、これが思いのほかよく出来ている。JImmy哥狙撃犯を推理するのに加え、拮抗するヤクザたちの一発触発状態の緊張を上手く描き出していて、硬派な黒社会映画に仕上がっている。ヤクザたちの性格付けも分かりやすい。見た目はスマートだが、暇さえ有れば女性といたしている珈琲、子供が生まれたばかりで事は起こしそうにない木星、道路を警察に封鎖され商売にならずイライラしている沙紙、パンクな恰好なのになぜか気の弱そうな文拯、そして事を起こしたくて仕方がない黒水。重慶飯店の入り口の係りで、自分の誕生日で休みを貰ってたらふく酒をくらった伍寶を心配して代わり車を運転していく阿玲(江若琳)。主人公の伍寶は、かっこいいヒーローではなく、代役をさせられているだけ。腕は確かだが、今は暴力ではなく頭の時代だといい、出来れば辞めたいと思っている。そんなネガティヴな役が余文樂によく合っている。
黄貫中、恭碩良、陳子聰のキャスティングも面白い。特に黄貫中は意外性あり。蔡少芬もいい。梁俊一の金髪、官恩娜は顔が見えないなど、スタイルにも、マンネリにならない工夫が見えた。ただし、最後の種明かし部分は丁寧すぎる気がしたのだが。
2009.10.17@旺角百老匯


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