《歳月神偷》のロケ地永利街保存へ

永利街。ベルリン國際映画祭でクリスタルベア賞を受賞した《歳月神偷》(歳月神偸)のロケ地として脚光を浴びている1960年代の唐楼が残る上環の永利街が香港政府の再建計画からはずされることになった。
08年末に提出された「永利街/士丹頓街項目」重建計画(再建計画)では、永利街の1號から12號のうち10號から12號の3棟を保存、残りは取り壊し、現代的唐楼に立て替える計画だった。全部で30以上になる所有者のうちすでに半分を政府は買い取っており、うち3棟はすべての所有者からの買い取りが終わっていた。しかし60年代を舞台にした《歳月神偷》がベルリン映画祭で受賞すると、永利街保存の声が大きくなっていった。
永利街保存の声はついに市建局を動かし、主席の張震遠は昨日突然、「永利街/士丹頓街項目」から永利街を外しさらに、永利街を「保育区」とし区域内のいかなる開発も禁止、永利街の12棟を現状のまま保存、「士丹頓街項目」はそのまま継続と、今週金曜日に都市規劃委員会に提出すると発表した。by 2010.3.17「蘋果日報

委員会に提出した結果、永利街保存は保留。1、2年検討ののち、保存か否かを決定することになった。
今後、政府は永利街の建物を積極的には買い上げしないそうだ。しかし残った建物も修理しないと傷んで朽ちていくだけ。政府が補助金を出して修繕しなければ、本当の保存はできない。なんでも建物の構造には問題はないと言っているようだ。それなら最初から再建などしなくてもいいようなもの。効率だけを考えて街を創ってはせっかくの魅力的な古い香港の街が台無し。住んでいる人だけなく、旅行者にとっても魅力的な香港とはどういう街なのか、政府がまったくもって考え違いをしているのか、もしくは考えてないのではないか。香港の街をどうやって保存し発展させていくのか、香港全体を見て計画していない見本のような出来事だ。また永利街のすぐ前にある街市は再建の対象なので、街市から永利街へつながる階段は取り壊されてしまうのだろう、街は残っても雰囲気は変わってしまうかもしれない。


利永街のすぐ近くに、無人になってかなりになる建物がある。3階建てぐらいでアールデコ風のコンクリートの建物。たぶん今回の再建計画の中に入っていると思う。これなどリニューアルしてプチホテルにでも出来そうだ。永利街一帯を全部保存して、レストランやカフェ、ホテル、ギャラリー、公園などにすれば楽しい街が出来るといつも思っていた。しかしそんな効率の悪い開発はしないのだろう。残念でならない。
そして永利街以外にも古い唐楼や騎楼はまだある。それを上手に利用して魅力的な街作りをして欲しいものだ。


永利街の写真はココに。ロケ直後(昨年)と最近のもの。