金像奨雑感

今年の香港電影金像奨は比較的妥当な結果。ただ終盤になって《歳月神偸》が追い上げたのではないとか思う。ノミネート時点ではまだ一般公開されておらず(金像奨の規定を満たすための2009年ごく一部で上映し、一般上映は3月に入ってからだったため)、その後ベルリン國際映画祭で受賞、さらに映画のロケに使われた永利街の再開発問題もからんで、小品にもかかわらず興行成績もよく評判もいいという状態を金像奨で評価しようとした結果、最佳編劇が《歳月神偸》に与えられたのではと思う。


《十月圍城》の最佳電影は文句はない。ただ陳徳森に最佳導演をあげるのかという話もなきにしもあらずだったが、消去法でいけば、やはり陳徳森が妥当なのかもしれない。ここに《歳月神偸》がノミネートされていたら、話は違っていたかもしれないが、残念ながらというべきか幸いにというべきかノミネートされていなかった。
最佳男主角は王學圻の呼び声がたかかったが、電影評論學会奨、亞洲電影大奨を受賞して、そろそろ審査員も満腹だったのか。2作品でノミネートされた任達華。インパクトという点では《天水圍的夜與霧》に軍配があがるところだが、ここでも《歳月神偸》のじわじわパワーで任達華は《歳月神偸》での受賞となったのでは。
最佳女主角は前評判どおり惠英紅。みなが一番あげたかった人が受賞するという理想的な結果。最佳男配角は、馮淬帆という声も聞こえていたが、このところ活躍めざましい謝霆鋒でも文句はない。最佳女配角は葉[王施]で予想どおり。
そして評論家ウケのよい《音樂人生》に新晉導演と、バランスのとれた結果だった。