父與子

《父與子》
張活游、阮兆輝、容小意、黄曼梨、黄楚山 
呉回:監督 1954年 モノクロ 粤語 無字幕


会社に勤めて6年半、黙々と仕事こなす張活游に昇進の機会がやってきた。同僚から必ず昇進と言われ、半信半疑ながらも喜びはかくせない。そんなころ、田舎の叔母に預かってもらっていた息子が出てくることになった。昇進と息子の二重の喜びにこころは踊ったのもつかのま、社長の息子の友人が空いたポストに就くことになってしまった。がっかりする張活游は、自分の息子は名門校に通わせ、お金持ちの子供の友人を作らせようと考える。身分不相応な有名校の高額な学費もなんとか工面したのだが、息子は学校で制服がないと授業を受けさせてくれないといわれてしまう。制服を作りにいくと今度はその値段にびっくり。それでもなんとか制服を作るのだった。
張活游親子の隣は母(黄曼梨)と息子の2人ぐらし。収入は母親の刺繍にかかっている。息子は母の苦労を知って、学校を止めて働くというが、母は絶対に首を縦に振らない。


自らの収入を顧みず、社長の息子が通う名門校に自分の息子も入れる。金持ちの子供たちの中で、貧しい子供がどれほど卑屈な思いをしなければならないのかをまったく理解していない張活游の父親は滑稽。学校に入ったはいいが、次なる関門は制服で、その次は山頂近くに住む張活游の会社の社長の息子の誕生会。山頂まで、なんと歩いて行く。極めつけは張活游の息子の誕生会。そこで、ようやく張活游は息子のために本当に相応しい学校はどこなのか気づく。


中聯の映画は総じて、人の道理を説いたり、少々説教くさかったりしながら、社会の底辺で生活する人々や、恵まれない環境の人々、ある種の不幸な人々への共感と励ましが込められている。
2011.3.26@香港電影資料館「人人為我,我為人人:中聯電影」


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