《桃姐》ベネチアで好評

《桃姐》@ベネチア。かつて2度香港電影金像奨主演女優賞を獲得している葉徳嫻(デニー・イップ)は、主演の香港映画《桃姐》で第68回ベネチア映画祭へ乗り込んだ。彼女は、プレミア上映で2度の喝采を受け、さらに欧米の評論家から絶賛、一躍主演女優賞候補となり、初めてのベニスで影后となる可能性も出てきた。
今年、ベネチア映画祭には4本の中国語映画がノミネートされており、その内の香港代表の1作《桃姐》は、現地時間で一昨晩、プレミア上映が行われた。杜[王其]峰(ジョニー・トー)の《奪命金》は映画祭最後の日に観客にお目見えする。《桃姐》の主演男優・劉徳華は一昨日の晩、グレーのスーツに白の靴を履き、監督の許鞍華(アン・ホイ)、主演女優の葉徳嫻、大陸の女優・秦海璐(チン・ハイルー)の3人の黒いドレスを着た貴婦人を伴って現れた。中国人ファンの歓迎を受け、劉徳華は大喜びでレッドカーペットで跳ね回っていた。
レッドカーペットでは人気だった劉徳華も、会場内や劇場内では主演女優の葉徳嫻の注目度にはかなわなかった。海外の観客でさえも、彼女の演技に涙していた。海外評論家も《桃姐》は笑いの中に涙ありと大絶賛。これは映画祭にとって驚きであった。スペインの新聞社FFEは、葉徳嫻は複雑な役で光りを放っていると指摘した。映画祭のオフィシャル刊行物《Venews》では、すでに上映されたコンペティション12作品の評価で《桃姐》は10ポイント満点の7.1ポイントで第4位。最高位のロマン・ポランスキー監督《Carnage》との差はわずか0.8ポイントで、《桃姐》受賞の呼び声えも高い。
許鞍華は95年、同様に香港的思いに溢れた映画《女人四十》で、蕭芳芳(ジョセフィーヌ・シャオ)をベルリン映画祭主演女優にしている。今回《桃姐》もまた、香港的思いを込めており、16年を隔ててび素晴らしい成績を残せるとよい。コンペ作品の中では、葉徳嫻が奨を争うのは《 A Dangerous Method》で精神分裂の女性を演じたKeira Knightleyだ。
劉徳華に葉徳嫻受賞の可能性を問うと、「デニー姐さんは今回、とてもよい役に出会えました。僕はちょうど80歳のファンが亡くなったばかりで、この映画を見る時にはさらに強く感銘を受けました。今回ベネチアでは同種の映画はありません。したがって僕はデニー姐が奨を手にする機会はあると思います。」と話した。
《桃姐》プレミア上映では、スタンディングオベーションは8分間に渡り、監督の許鞍華や葉徳嫻も興奮し目には涙がにじんでいた。劉徳華が監督らを連れ舞台前で観客からの声援を受ける際、会場には再び拍手の音が響き、観客は会場を去りがたい様子だった。
上映後パーティーの席上、劉徳華は大変興奮した様子だった。葉徳嫻は当初大変緊張していたといい、「みんなの反応がいいのを見て、本当に嬉しく思いました」と話した。また許鞍華は、「平常心で映画祭に参加するのは難しいですが、プレミアの後には大変ほっとしてリラックスしました」と語った。この映画への反応はすこぶるいいが、香港では、来年3月になってようやく鑑賞の機会に恵まれるようだ。
2011.9.7「蘋果日報

3月ということは映画祭オープニング? ということは金像奨は再来年?