今年のベスト

《桃姐》今年スクリーンで見た映画は短編も含め154本(延べ数)。一覧はココ。うちロードショー公開の香港映画が50本で、中国との合作映画がほぼすべて。昨年のノスタルジーは影を潜めている。香港は香港映画の上映地としてあまり当てにされておらず、相変わらず大作古装片と大陸公開にフォーカスした香港映画の焼き直しが目立つ。
今年はまず、3級片《3D肉蒲團之極樂寶鑑》が大陸客を集客して話題に、後半戦になり葉徳嫻(デニー・イップ)がベネチアで主演女優賞を獲得した許鞍華(アン・ホイ)監督の《桃姐》に注目が集まるが、商業的戦略から今年はごく一部で限定公開され、本格的公開は来年(3月9日公開)。今年後半は、台湾映画《那些年、我們一起追的女孩》に話題をさらわれた感あり。《那些年、我們一起追的女孩》は中学生(日本でいえば高校生)を中心に多いに集客して、周星馳チャウ・シンチー)の《功夫》を(たぶん抜いて)ついには香港の中国語映画の興行成績記録を樹立するという事態になってしまった。香港映画人は多いに反省すべし。
さて、香港映画のベストを選出しようと思うが、今年は見るに足る作品が本当に少ない。以下順不同。

《桃姐》:許鞍華がさらに高みに登ってしまった。地味で淡々とした物語に考えさせられることが沢山ある。(id:hkcl:20110928)
《竊聽風雲2》:ベテラン俳優の使い方に多いに感心するし、物語も面白い。(id:hkcl:20110818)
奪命金》:杜蒞峰監督、咬めばかむほど味のある映画。(id:hkcl:20111015)
《保衛戰隊之出動喇!朋友!》:黄精甫×麥浚龍が成熟していく。(id:hkcl:20111108)
《鴻門宴》:三国志ものアイドル映画だが、李仁港にしては面白かった。(id:hkcl:20111211)
武侠》:期待しすぎて少しがっかりだが、王羽の存在感は素晴らしい。(id:hkcl:20110728)

ロードショー公開作品以外に目を向けると、中聯やら李鐵やらと相変わらず50〜60年代の香港映画に魅せられた。インディーズに少し面白いものあり。しかしインディーを商業にはなかなか結びつけられない。