忠烈圖

《忠烈圖》
徐楓、白鷹、喬宏、呉家驤 胡金銓:監督 朱元龍(洪金寶) :武術指導 カラー 国語 1975年


明末、日本海を荒らし回っている倭寇は中国人と手を結び、中国沿岸をも荒らし回っていた。さらには地方の官と朝廷の宦官は癒着。浙江の巡撫は、倭寇退治に策略にすぐれた俞大猷(喬宏)を送った。俞大猷は伍繼園夫婦(白鷹、徐楓)ら7人を連れ、商人に化け倭寇に近づこうと考えた・・・。


胡金銓ならではの音楽、独特のカメラワーク、様式美ともいっていい人の動きを楽しむ。特に敵の動きを碁盤の上の碁石で示していくところなど秀逸。相変わらず台詞は少なく、役者同士のアイコンタクトが台詞の代わり。徐楓などほとんど声を発していない。アクションシーンは今見ても十分な速さがあり驚く。《侠女》は竹林だったが、今回は木立や岩場が戦いの場になる。
洪金寶は博多津というよく分からない名前の倭寇を演じており、白塗りの顔にちょんまげもどき(単に髪を結んだだけ)で、羽織袴(着方がなってない)、足袋に雪駄、刀を腰にさすといういでたちで登場する。そして手裏剣も使う(忍者じゃないのに)。顔が白いのはやはり京劇の悪役を踏襲しているのだろう。その他、倭寇役は浴衣のような生地の着物をだらりと前をはだけて着ていたり、柔道着のようなものを着ていたりと、日本的なものがかなりいい加減だ。さらには捕まった者が話をしないので、口が不自由なのかと思っていたのだが、実は倭寇(日本人)だった。その見分け方として靴を脱がしてみると、足袋を穿いていたというオチには笑った。ロケ地が気になるのだが、西貢の奥の方や大潭あたりな感じもする。寺はやはり韓国か?
日本では、1989年の池袋(通称「キン・フー映画祭」)と東京国際映画祭の2回上映しているのだろうか。
2012.10.27@香港電影資料館(世界視聽遺產日)


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