長生塔

《長生塔》
張活游、白燕、黄曼梨、梅綺、盧敦 
呉回:監督 陳其鋭・梁海山:セット 
1955年 モノクロ 粤語 無字幕 山聯 


鄭家の祖父(盧敦)は、ひ孫を渇望しているが、孫・平(張活游)と妻・薇(白燕)にはなかなか子供ができない。そんな折り、祖父は自分の家の向かいに建立した長生塔を長いことほったらかしにしたのが好くないのかもしれないと、次男(石堅)に金を渡して修繕するように言う。その頃、孫嫁の実家から嫁の母(黄曼梨)が鄭家にやってきた。母は父が外の女に夢中になって家に帰ってこないと嘆き、鄭家に逗留することになった。よやく孫夫婦には子供ができたが、嫁の薇は体調が優れない。さらに嫁の母も体調を崩していたが、娘を思い無理をして元気を繕い実家に帰ることにした。ひ孫が男児なら財産をやろうという言葉を聞いていた次男は気が気でなかったが、難産のすえ生まれたひ孫は女児だった。落胆する祖父。頼みは次男のところの孫夫婦と思っていたが、次男は長生塔の修繕費用として受け撮った金を博打につかってすっていた。父から金の返金を催促された次男は、息子(孫)に不正な商売をさせまとまった金をかせごうと船に乗せ出かけさせるた。行くへの分からなくなった孫を心配する祖父と父のところへ、船が沈んで孫が亡くなった知らせが届く。平が亡骸を引き取りにいっている間に、夫が亡くなった事を知った孫嫁(梅綺)は失意のあまり長生塔で首をくくった。それを見た薇は混乱、長生塔に幽閉されてしまう。戻ってきた平には薇が亡くなったと知らされるが、嘘はばれてしまう。混乱している薇は、夫が認識できず長生塔から転落してしまう。平は薇を抱きかかえ、家を後にしたのだった。


子供を産めないのは嫁じゃない、男児を産まないのはこれまた嫁じゃないという、前近代的思想が招いた悲劇。
盧敦は監督なのだが、俳優としてもなかなかのもので、この憎たらしい爺さんの役も非常に上手い。そして石堅が出てきただけで、何か企んでいるのが分かる。映画の泣かせどころは、白燕と黄曼梨の親子がお互い体調が悪いのを隠し、元気を装って別れの挨拶を交わすシーン。白燕と黄曼梨は7歳しか離れていないが、ホントに親子のように思えてしまう。そしてどちらも不幸が似合う女優。黄曼梨を見るといつもなんとなく風貌が似ているのか奈良岡朋子を思い出す。
2012.11.11@香港電影資料館(穿梭古今・雕城鏤棟 ― 大佈景師陳其鋭、陳景森父子相輝展)


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