イスタンブールに来ちゃったの(Istanbul Aku Datang)

《Istanbul Aku Datang》

リサ・スリハニ、ベト・クシャイリー、トモ 
バーナード・チョウリー:監督


イスタンブールで医学を勉強する彼氏アザド(トモ)の卒業が待てないディアナ(リサ・スリハニ)は、3か月の語学留学と称してアザドと同じ学校に通うと決めて、その間になんとか彼氏にプロポーズさせようと考える。ところがイスタンブールに着いていみると、アザドは、「勉強が忙しいからかまってやれない。ルームシェアしている友人たちの手前同じ部屋には泊めてあげられない。自分で部屋を探せ」とそっけない。しかたなく部屋探しをするディアナは、ひょんな事から知り合った男性から、素敵な部屋を紹介され意気揚々。ところがディアナはこの調子のいい男に騙されていたのだった。部屋の本当の借り主はハリス(ベト・クシャイリー)という男だった。前金を渡してしまってお金のないディアナは引っ越す事も出来ず、アザドを煩わせるわけにもいかず、この事を言えない。ディアナはハリスとルームシェアすることになってしまうのだが・・・・


物語は想像出来る範囲だし、結果も分かってしまうが、可愛らしくとても上質なラブコメだった。特に主役のリサ・スリハニがファッションもキャラも可愛い。クアラルンプールで(1度しか行っていないが)見たイスラム系の女性たちのファッションに比べると、かなりファッショナブル。ただし足や手や胸を露出することはないから、足もタイツでしっかりカバーしていたが、そのタイツの色使いも可愛かった。またイスタンブールを離れる前日に着る白のカットソーにオレンジのカーデガン姿にはハッとする美しさがあった。さらには彼女が自分の状況を常にネットにアップしているというのも、いかにも”今”な感じで面白い。
アザド役のトモは、劇中ディアナ相手に歌を口ずさむ場面があって、なかなか上手いと思っていたら、本名(?)はShah Indrawan Ismailというシンガーだとか。ハリス役のベト・クシャイリーは、いかにもな南洋系顔のハンサム君だった。男の子たちのファッションも気を遣っていてセンスがよかった。
マレーシア映画にどのような規制があるのか知らないが、恋人たちはキスするシーンはもちろん、抱きしめるシーンもなかった。歌を歌って彼女の機嫌を取ったり、バイクの2人乗りでの微妙な彼女の手の動きなどで感情を上手く表現して、キュンとさせるだけの脚本と演出がなされていた。中でも秀逸は、汚れた彼女の髪を優しく洗ってあげるシーン。あれは男の最大限の愛の表現だと思うし、あれで惚れない女はいないと思う(笑)。そういう細かい表現が新鮮に映った。
イスタンブールは坂のある街のようだし、なんといってもアジアとヨーロッパを隔てる海峡が街を二分しているという珍しい場所。一度は行ってみたいと思う。
2012.5.25@シネ・マレーシア2013(オーディトリウム渋谷)


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