看見台灣(天空からの招待状)

《看見台灣》
齊柏林:監督 西島俊秀:ナレーション 
2013年


台湾を空撮したドキュメンタリー。「天空からの招待状」という詩的な邦題が付けられているが、その実は自然破壊に警告を与える内容だ。山を切り崩して建つ高層住宅、渓谷にうねる道路と痛々しい土砂崩れの跡、その土砂崩れを食い止めるために置かれたコンテナ(!)、湖に堆積する土砂、変色する湖、山の上を切り開いたキャベツ畑、海岸近くに広がる養魚場と養魚場へ地下水を供給するパイプ、地下水を汲み上げた結果地盤沈下し水没した墓、コンクリートのための山の採掘など、破壊された自然のショッキングな映像が続く。台風や水害の傷跡も生々しい。事前の情報を入れておらず、”台湾好いとこ美しい島”という内容だとばかり思っていたのでしばし呆然。
傲慢な人間は自然を作り替えて、たびたび激しいしっぺ返しを食らっている。その度に原因を突き止め反省しているようにみえるのだが、こういう映像からは反省しているように思えない。
台湾の映像を見て、日本はどうだろうと考える。近年、環境破壊にかなり注意を払うようになっていると思うが、空撮したら同じように様々な問題があぶり出されるのだろうか。今からでも食い止めることは出来るのか?
今回映像に集中するために日本語ナレーション版を見たのだが、ナレーションに統計の数字の羅列が多いのと、日本語がこなれてない部分があっていまひとつなのと、台湾の地理がよく分からないので、地図と具体的は場所名が字幕で出るとよかったのにと思った。
ちなみにオリジナル版は呉念真がナレーションをしている。


2015.01.02@シネマート新宿
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