白日焰火(薄氷の殺人)

《白日焔火》
廖凡、桂綸鎂、王學兵 刁亦男:監督 
2014年


ホテルの1室で男女が関係をもった。男は駅のホームで女を押し倒し女は激しく抵抗「これが最後っていったでしょう」と男を突き放し電車に乗った。
1999年、互いに離れた6つの都市の15の石炭工場からバラバラ死体が見つかった。身分証が発見され死体は梁志軍という男だと判断された。この事件を担当することになったのが、先のホームで女を押し倒した男で、刑事の張自力(廖凡)だ。自力は2人の運転手を容疑者とにらんで、部下と共に理髪店に乗り込んでいったが、犯人に激しく抵抗され、さらには不意を突かれ部下が撃たれ自らも負傷、警察を辞めることになってしまった。その後自力は工場で保安係の職についたが、酒浸りの日々を送っていた。
5年後、再び似たような事件が起こった。そして今回の事件が5年前のバラバラ死体・梁志軍の残された妻・呉志貞(桂綸鎂)とも関係のあることが分かった。それを知った張自力は、すでに警察官ではないにもかかわらず、捜査に加わろうとし呉志貞を監視することにした。


舞台は中国東北部ということだが、車のナンバーは黒竜江省で、どうやらハルピンらしい。
印象的なシーンがいくつかある。冒頭のホテルでのシーン、続く駅のプラットホームのシーン、パワーシャベルが死体(死体がくるまれたモノ)をすくい上げるところ、1999年から2004年へ変わるトンネルのシーン、高みからバラバラにした”モノ”を貨車に投げ入れるシーン、夜のスケートリンクで人気の少ない方へ滑っていく等々。特に冒頭から刑事が撃たれるまでにはかなり引きつけられる。ところが終わってみると少し肩すかしを喰らう。
大陸の話しだが、桂綸鎂がやはり大陸人に見えないし、たかがクリーニング屋なのに質の良さそうなセーターやコートを着ていたりするところもどうもピンとこない。さらに出てくる風景のどれもがどこかヨーロッパの田舎町のようであるし、最後の廖凡が踊るシーンも大陸映画っぽくない。そこは狙いか? 
そんなことばかりが気になってしまった。 
2015.01.13@新宿武蔵野館
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