昭和やくざ系図 長崎の顔

渡哲也、安藤昇嵐寛寿郎、水島道太郎、藤竜也、益田ひろ子 野村孝:監督 
1969年 日活


長崎の総家高間は、二代目の慶二郎が原爆で亡くなっていらい、子供だった息子の慶二が成人するまでの間、平田(嵐寛寿郎)が名跡を預かっていた。ところが大学生になった慶二がトラブルに巻き込まれ人を殺めて刑務所へ。出所してきた慶二を迎えたのは、平田と数少ない組員だった。長崎の街は新興の松井(青木義朗)が仕切っていた。慶二は跡目を継ぐ決心をし、組を立て直すため興行を打とうとするが、めぼしい会場を松井が総て押さえていた。。。


安藤昇は松井組にわらじを脱いだ流れ者のヤクザ”竜”。自分なりのルールと正義感を持っているクールな男。とにかく惜しいのは、竜と慶二の関係が男の友情どまりで、男が男に惚れるところまで昇華されていないことだ。従ってホモソーシャルな世界が確立できていないがゆえ、竜二が加代子(益田ひろ子)の愛をきっぱりと遠ざけられない印象を与えてしまっている。そこが上手く表現できていたら、もっと”きゅんきゅんする”映画になったろうに。。。


興行はヤクザが仕切っていることが当然のように語られる映画は、もう今では作られないだろう、などと思いながら見た。
2015.04.07@シネマヴェーラ渋谷(祝・芸能生活50周年 安藤昇伝説)
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