Lilting(追憶と、踊りながら)(輕輕搖晃)

《追憶と、踊りながら》
ベン・ウィショーチェン・ペイペイ(鄭佩佩)、アンドリュー・レオン、ピーター・ボウルズ ホン・カウ:監督 
2014年


カンボジア系中国人でロンドンの介護施設でくらしているジュン(鄭佩佩)は、息子のカイ(アンドリュー・レオン)が尋ねてくるのが唯一の楽しみ。本当は息子と一緒に暮らしたいのだが、息子が今一緒に暮らしている友人リチャード(ベン・ウィショー)の事が嫌いで同居はできないと思っている。ある日、そのリチャードがジュンを尋ねて来る。英語の出来ないジュンと中国語の出来ないリチャードは会話が成立しない。リチャードは施設の職員からジュンには最近アラン(ピーター・ボウルズ)というボーイフレンドが出来て、毎日のように一緒にいると聞きいて、通訳の女性を頼むことにした・・・


愛、コミュニケーション、記憶、家族・・・さまざまなものを考えさせられる映画だった。
かつて女侠を演じていた鄭佩佩がその芯の強さを持ったまま、年老いた哀しさと息子への愛とある種のあきらめを余すところなく表現していた。この映画を観るとこの役は彼女以外に考えられない。そんな素晴らしい演技だった。こんな素晴らしい女優がいながら、香港映画界は誰もこういう役を彼女にオファーしなかった(こういう映画も撮っていない)。香港の映画界はもう少しいろいろ考えた方がいいと思う。本当に強くそう思う。
2015.06.02@新宿武蔵野館
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