的士判官(タクシーハンター)

《的士判官》VCDパッケージ
黄秋生(アンソニー・ウォン)、于榮光(ユー・ロングァン)、呉孟達(ン・マンタ)、朱茵(アテナ・チュウ)、胡楓(ウー・フォン) 邱禮濤(ハーマン・ヤウ):監督 1993年


阿建(黄秋生)は保険会社の優秀なセールスマン。優しくどちらかと言えば気弱な性格。妻は妊娠中で子供が生まれるのを楽しみにしている。ある大雨の夜、妻が産気づくが、少し前に車を修理に出したところだったためタクシーを呼んだ。やってきたタクシーは通りかかった男が乗っていってしまった。その間に妻は出血してしまい、やっと停めたタクシーはそれを見て乗車拒否し閉めた扉に妻の服がひっかかり、引きずられた妻は亡くなってしまう。傷心の阿建は仕事も上手くいかず、酒を飲んで悲しみを紛らわした。酔っぱらった阿建はタクシーに乗って家に帰る途中、タクシー運転手の言動に妻を亡き者にしたタクシー運転手への怒りが爆発するのだった・・・・。


今では考えられないタクシー運転手の態度の悪さは多少誇張はあるものの、当時はよくある光景だったかもしれない。本来は優しい阿建の怒りが限度を超えて悪徳運転手を殺害していく様はある意味爽快なずだが、殺し方が残忍でさらには殺しに快楽を覚えてしまったふしがあるところがミソ。黄秋生の変貌ぶりは観客が納得出来るものなっていおり、演技力を見せつけている。
友情に厚い熱血刑事阿聰(于榮光)は冒頭でかっこいいアクションを見せているし、同僚の刑事阿哥(呉孟達)の存在でリラックスさせて、阿哥の娘でテレビ局の新人レポーター阿茵 (朱茵)との親子の情も取り混まぜることで、阿建の行為の異常さを際立たせていて、全体としてとてもよくまとまっている。
これまで佳作として知る人は知っている作品だったが、こうやってスクリーンで観られた事は嬉しいかぎり。
2015.08.01@ヒューマントラストシネマ渋谷(スーパークレイジー極悪列伝)
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