乾旦路

《乾旦路》
ドキュメンタリー 卓翔:監督


困難ではあるが、自分の信じる道を歩いていく2人の若い粤劇の俳優を追うドキュメンタリー。
王侯偉は学生の時、粤劇コンテストで優勝し、粤劇界の道に足を踏み入れた。粤劇では任剣輝に代表されるように女性が男性(生角)を演じる例はあるが、王侯偉のように男性が女性を演じ(男花旦)た例はなく、その道は厳しい。花旦からは男が女性の役を取るのかと言われ、活躍の場をはなかなか与えてもらえない。梅蘭芳が粤劇の俳優だったら、自分の境遇も違うだろうと話す。中学校で粤劇を指導したりしながら、出演の機会をまっている。
方や現在17歳の譚穎倫。粤劇好きの祖父と父の影響を受け、小さい時から粤劇に親しみ、たぐいまれな才能を早くから認められ、16歳にして主役を演じている。彼も当初は男花旦を演じたが、ある日声がでなくなり、現在は生角を演じている。学業と粤劇の両立は想像以上に困難で、寝る時間も勉強する時間も削って粤劇の舞台(特に祭で奉納する粤劇)に出演する。1度断れば来年は呼ばれないと言い、休みがちの学校は落第するかもしれないと嘆く。


興味深い内容であった。ただ、わたしが外国人で粤劇の事をよく理解していないからかもしれないが、欲を言えば、もう少し突っ込んで欲しかったと思うのは、彼らの置かれている状況をよりはっきりさせるために、他の粤劇の俳優たちは彼らをどう見ているのか、譚穎倫であれば(親の話はでてくるが)学校の先生や友人はどう思っているのかといった、外側からの視線が欲しかったと思う。
2012.12.5@百老匯電影中心


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