「レスリー・チャンの香港」
松岡環:著 平凡社:刊 2008年 2200円+税
1.はじめに
2.少年期:中国とイギリスの狭間で1956ー1969
3.ティーン期:イギリスの旗の下に1970ー1976
4.デビュー期:香港文化の誕生1977ー1983
5.開花期:爛熟する香港芸能文化1984ー1986
【インテルメッツオ】私と香港とレスリー・チャン
6.転換期:香港を覆う影1987ー1990
7.リターン期:香港が呼ぶ1991ー1994
8.成熟期:新たな冒険へ1995ー2000
9.萎縮期:時代の渦の中に消えた命2001ー2003
10.おわりに
丁寧に資料を読んで、張國榮(レスリー・チャン)の生涯を香港の歴史とリンクさせて語っている。
短いとはいえ40数年間の香港とレスリーの歴史を1冊の本で語るため、駆け足な感は否めない。それでもおおまかではあるが、香港の音楽や映画がたどった道が見える。
私は熱烈なレスリーファンではないが、80年代の終わりから断続的ではあるが意識的に香港映画を見ていたので、さまざまなシーンで張國榮が出ている映画を見ることになったし、その中にはおおいに気に入っている映画もある。
広東語を習い始めるまでは(香港映画を見始めてから広東語を習うまで8年かかっている・笑)、日本語字幕の香港映画を見ていたし、中国語の本や雑誌を見ることもほとんどなかった。今は古い香港映画にも大いに興味があるが、かつては古い時代の音楽や映画にはあまり興味が無かったし、なにより音楽より映画に興味があったので、レスリーやその他の歌手についても知らないことが多い。この本を読んでいると、そんなさまざまな断片の知識が繋がっていく面白さがあった。さらに松岡さんの読みやすい文章のせいもあって、あっと言う間に読み終わってしまった。