金馬奨投票事情

劉徳華アンディ・ラウ)は同情票は必要ない、実力で取りたいと話した。金馬奨審議委員長・許鞍華(アン・ホイ)は、男優賞は仮投票ですでに5対2で劉徳華が「宿敵」梁朝偉に勝っており、正式な投票でも1回目で、そのまま5対2で決まったと話した。張學友(ジャッキー・チュン)と多布杰がそれぞれ1票ずつを獲得したていた。
劉徳華受賞の理由は《無間道III 終極無間》において、精神的に不安定な難しい敵役を、的確に演じたこと。梁朝偉トニー・レオン)の役は、演じ方は熟達し軽々としているが、みながすでによく知っている役と感じられたため、劉徳華ほど(役柄の)転換の必要がなかったと思われた事が、敗因だった。
今年の金馬奨審議員は9人。一番論議が沸騰したのは最優秀作品賞だった。仮投票を含め4回投票を行ったが、《2046》と《可可西里》(ココシリ マウンテンパトロール)の2つで決まらなかった。日本の東陽一が《可可西里》は、物語は簡単だが感動に満ちあふれている。陸川(ルー・チュアン)は中国の若い世代のパワーと創作力を持った監督だ。また《2046》は王家衛(ウォン・カーワイ)の最高作とはいえないだろう、と話した。何回かの討論の後、最後には1票差で《可可西里》が《2046》を破った。
楊貴媚(ヤン・グイメイ)は1度目の投票で7票を獲得。彼女と争ったのは章子怡チャン・ツィイー)で2票だった。《月光下、我記得》の楊貴媚は感情を抑えたシングルマザー役で、その心理描写は今年の主演女優の中では抜群に優れていた。
許鞍華(アン・ホイ)は、審議員は議論を重視して選出しており、新人賞も4回投票し、最後には2に新人賞を与えることになった、と話した。(略) by 2004.12.5「中時電子報」

劉徳華、確かにこのところめっきり上手くなっている。《暗戦》に比べれば、《無間道III》や《大隻[イ老]》は遙かに上手い。《暗戦》ではまだまだスタースターしたところが抜け切れていないが、《無間道》を撮ってさらに《無間道III》、《大隻[イ老]》と役に恵まれているという事ももちろんあるが、スターの映画ではなく、映画の中のスターとしての位置を獲得している。ただ惜しむらくは、かつては非常に能動的だった劉徳華の役が、近年、受動的になっていることだ。
金馬奨が終わると、金像奨はどうかというのが気になるのだが、金像奨の時には、周星馳(シャウ・シンチー)《功夫カンフー・ハッスル)》が入るだろうし、これから公開になる《天下無賊》も(香港映画とみなされれば)候補に入ってくる可能性あり。さらに金馬奨ではまったく引っかからなかった《江湖》《千機変2》、最近公開の《桃色》《死亡写真》《公主復仇記》《阿[孑子]有難》あたりがどう絡んでくるのか大いに気になるところ。

近松物語

長谷川一夫香川京子南田洋子進藤英太郎 溝口健二:監督


いま、電影資料館と香港科学館で「溝口健二特集」をやっている。資料館の方の上映は今日が最後で、来週からは科学館。見られるだけ見たいのだが、なかなかどうして時間が。
昔の映画は本当に美男美女。京マチ子は妖艶で、香川京子は美しい、南田洋子は今からは信じられないくらい可愛い(笑)。森雅之長谷川一夫も美男子だし上手い。こういう映画はもう絶対に作れないだろうな〜。こんな台詞回しの脚本を書ける人もいないし、セットも作れない。ロケも出来ない。そして俳優たちもこんな台詞はいえないし、こういう身のこなしは出来ないだろうな。個人的には《近松物語》が、より娯楽性に富んでいて面白かった。
2004.12.05@香港電影資料館


■□04年に見た映画一覧□■