一鳴驚人

《一鳴驚人》李麗華、黄河、王元龍、劉恩甲 
易文:監督 麗華 1954年 モノクロ 國語 英文字幕


銀行に務める呉(劉恩甲)には美しく育った娘(李麗華)がいる。しかし娘は子供のころの病気が原因で耳は聞こえるが話しができない。ある日、銀行オーナーの誕生祝いに招かれた呉は、したたか飲んで酔っぱらっい、オーナーの御曹司に車で家まで送ってもらうことになってしまった。呉を送った御曹司は、呉の娘を見て一目で気に入った。御曹司は映画撮影(8ミリ)が趣味で、撮った映画を見せるからと呉親子を家に招待した。呉は娘に新しい服を仕立て、簡単な作法を教えて連れていったが、口が聞けないのが分かってはいけないと、そそくさとオーナーの家を後にした。ある日、御曹司は花を携え呉の家を尋ね、娘が話しができないことを知るが、2人はドライブに出かけた・・・・。


御曹司にはしつこく付きまとう親戚の娘がいて、静かな呉の娘とは正反対な役として描かれる。途中、誤解もあるが、最後はめでたし。李麗華は話しが出来ない役で、表情や仕草で思いを伝えて行き、最後になってやっと声を発する。父親役が劉恩甲で喜劇的要素もあり、歌もありで文芸娯楽作品。画面に星がキラキラするという非常に単純な特殊効果が使われていた。そんなところも喜劇的。解説によると物語はアナトール・フランスの戯曲「The Man Who Married a Dumb Wife(物言わぬ妻と結婚した男)」に基づいているという。
2009.3.29@香港電影資料館(兒女情長:易文電影)


■□09年に見た映画一覧□■

「易文:其人其藝」

出席:楊見平、楊見安、楊見樂(易文の子供たち) 
司会:何思穎 
於:香港電影資料館


子供たちから見た易文について。長男と長女は早くから香港を離れてしまっていて、あまり父親と接触がなかった。ただしとてもジェントルな人で、子供を怒ったりしたことがなかった。子供たちの目には父親の撮った映画は退屈な作品と映っていたという。


易文は克明に手帳をつけており(どこへ行った、何か買ったなども)、今回その手帳が電影資料館に寄付された。これは易文個人についてだけでなく、当時の中産階級の人々の生活、電懋についての具体的で貴重な資料である。易文は外に女性もいて、その事も手帳には書かれている。家族は故人の名誉のために隠そうとする傾向があるなかで、今回のこの手帳の寄贈は大変意義のあること。あらゆる経験(感情)が映画作りに影響している。特に三角関係を描いた作品と彼の感情との関わりはとても興味深い・・・・。日本で撮影した時にはストリップを見に行ったとも書かれているそうだ。