《功夫》新記録

周星馳チャウ・シンチー)の《功夫カンフーハッスル)》は、12月23日の上映開始から昨日(6日)までの45日間で、興行成績が6080万香港ドルになり、《少林足球(少林サッカー)》の6073万香港ドルを抜いて、香港映画の歴代興行成績1位となった。by 2005.2.7「各紙」

昨日の百老匯電影中心のサロンのお題は、「香港電影評論學會大奨」の結果についてだった。彼ら《功夫》について、かなり点が辛い。周星馳がホントにしたいことと《功夫》の間には隔たりがあるというのが彼らの考え。それは周星馳が、海外へ出ていく事を強く望んだために起きた結果なのだという。周星馳自身も《功夫》の「香港での興行成績は気にしていない。もっとも重要なのは海外の市場を開拓する事だ」と言っている(05.2.6「明報」)そうだ。さらに前にチラと見たインタビューで、「自分が満足しないときには、観客が満足する」と言っていた事もそれを暗示しているのかもしれない。
香港では、以前からの周星馳ファンは、周星馳と林子聰がナイフを突き刺したり、ゴメンと言ってもどしたりするところが、この映画の中で最も面白いところ、つまり周星馳らしいところだと言っているが、最近の若い子は、周星馳を元秋が追いかける場面が一番面白いと言っているそうだ。かつての周星馳らしいギャグは、もう時代遅れになっているのだろう。
周星馳が以前と同じような映画を作りをしていたら、香港でもこのようにヒットするとこは無かったのかもしれない。海外の市場を求めた作りが、結果としては香港の市場にもきちっと受けとめられたということなのだろうか?
日本では《少林足球》ほど《功夫》の入りはよくないようだが、それは香港人と日本人の功夫映画に対する思い入れ(記憶)の違いかもしれない。だとしたら、海外市場開拓には、功夫映画への過度な思い入れは邪魔になるということか。一貫して功夫映画や李小龍への思い入れを映画に具体化したいと思っている周星馳にとっては、辛い結果かもしれない。今後、どうやって自分の思い入れを飼い慣らし、観客のニーズとの間に接点を見つけていくのだろうか。周星馳の頭にまた白髪が増えそうだ。