黒白戦場(ブラッディレイン)

曾志偉(エリック・ツァン)、余文樂ショーン・ユー)、關秀媚(スーキー・クワン)、黄伊汶(エマ・ウォン)、林雪(ラム・シュ)、張耀揚(ロイ・チョン)、陳鍵鋒(サミュエル・チャン)、姜文杰、廖啓智(リュウ・カイチー) 
王晶バリー・ウォン/ウォン・ジン)・鍾少雄(ビリー・チョン):監督


警官の米(林雪)は、龍老四(曾志偉)を警察に呼びつけ、「誰かがお前を殺そうとしている」と言う。元朗で小さな店を営む柴叔(廖啓智)と彼が仕込んできた發仔(余文樂)らが龍老四を影のようにボディーガードをすることになった。さらに龍老四は、3人の大哥(張耀揚ほか)を集め、引退をほのめかし、彼が管理している資金の半分を自分の契仔・ピーター仔(陳鍵鋒)に渡すと言う。面白くないのは3人だ。いったい龍老四を狙っているのはこの3人の中の誰なのか、金の行方は??


王晶が《黒白森林》につづいて描く、黒社会もの。冒頭いきなり警察(林雪)と黒幇(曾志偉)が外売のご飯を食べるシーンが登場し、警察の入り口に立つ杜汶澤(チャプマン・トー)には「そう強」と言わせるなど、《無間道》の影がここでも顕著。さらに《無間道II》の呉鎮宇が4人の大哥を亡き者にしようとするあたり、余文樂の位置付けについても引用している。また殺し屋ならぬボディーガードが旺角ならぬ佐敦の安ホテルに潜んでみたり、「佐敦にいったいどれくらいの安宿があると思うんだ」という台詞など、ここでは《旺角黒夜》も意識しているだろう。《旺角黒夜》が警察側からの視点だとしたら、《黒白戦場》は、《旺角黒夜》の裏返しで黒幇側からの視点とも言えるのか。
このように、王晶は素早く話題作を我がモノにしようとする。ただ、やはり王晶は、爾冬陞(イー・トンシン)でも、劉偉強(アンドリュー・ラウ)でもなく、サービス精神が出てしまう。女性も登場させ、笑いも入れずにはいられない。しかしそれがことさら雰囲気を壊すこともなく、意外に上手くいっている。前作《黒白森林》よりは纏まっている。


出演者を見ると、廖啓智が喜怒哀楽を的確に表現して話をぴりりと締めている。張耀揚が今度は台詞ありで筋肉もご披露と《無間道II》の不満を解消。意外にいいのがTVB若手俳優の陳鍵鋒。クールに振る舞うのはなかなかよいが、1カットだけ気弱に見えるところがあるのが惜しい。余文樂は《江湖》でも見せた短気で投げやりな役が定着してしまうのではと心配してしまう。余文樂カップルになる黄伊汶は、女優不足の香港では個人的にはとても期待しているが、これが2作目。今後も要注目。姜文杰は秦沛の息子だそうだ。
2005.4.8@新寶戲院


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