雪兒

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鍾楚紅(チェリー・チェン)、梁家輝(レオン・カーファイ)、楚原(チョウ・ユン) 譚家明(パトリック・タム):監督 1984年 邵氏


中学の体育教師の雪兒(鍾楚紅)は、魅力的な女性。金持ちでロールスロイスを乗り回す会社社長・戴家樂(楚原)があの手この手で雪兒を口説こうとしているのが、雪兒はまったくその気が無い。しかしある日、食事だけという言葉にいつ乗って、船で沖に出ることに。運転手兼執事は社長のためと酒に睡眠薬を投入し、精力が出るといわれるスペイン産の蠅(爆)を用意していた。雪兒は酒を飲んで酔っぱらって倒れたふりをし、社長の出方を確かめようとした。社長は雪兒をどうしたものかと迷っていたところに、執事が倒れた雪兒の前でこの企みを話してしまい、怒った雪兒は船から海に飛びこんで逃走。
沖に上がってぬれ鼠の雪兒は、まっかなスポーツカーを乗り回す男(梁家輝)に拾われた。男は阿化といいカメラマンだった。雪兒に写真を撮らせてくれとせまる。阿化に惹かれた雪兒は、一緒に住むようになる。しかし社長は一向に雪兒を諦められない。一計を案じた社長は、映画を撮りたがっている阿化に、雪兒から手を引けば映画に出資すると持ちかける。
阿化は、自分は癌で余命幾許も無いから別れようと雪兒に言う。しかし雪兒はそんな阿化をほおっておけるわけはなく、死ぬまで一緒にいるといいはる。困った阿化は社長に相談、マレーシアに逃げることに。しかし雪兒はマレーシアまで阿化を追っかけていった。そして社長も雪兒を追ってマレーシアへ・・・。


一応、鍾楚紅の魅力いっぱいってことなんだろうと思う。体育教師は単パンだし、むちっとした肢体を惜しみなく見せて、セミヌードもご披露。途中で体育教師は何処へやらなんだが(笑)。あっ、披露といば、梁家輝もすでにこの時点で尻ご披露。それにしても痩せて細く、眼鏡をかけた顔は、芸術家というより、オタクチックでちょっと気持ち悪いかも。今の方が数百倍かっこいい。そして楚原、いわずと知れた《大丈夫日記》の監督。これがいい具合にスケベおやじを演じている。


監督の譚家明は、張國榮レスリー・チャン)の《烈火青春(レスリー・チャン 炎の青春)》、香港ニューウェイブの監督のひとりと言われている。そんなわけで、梁家輝はカメラマンで、新界の外れの一軒家に住んでいて、スタジオがあり、プールがあり、この時代にしては妙にオシャレすぎ。雪兒のことは女性としてではなく、芸術品としか見られないらしいし(爆)。突然ワイングラス2つとワインをかかえ、雪兒の手を取りスポーツカーに飛び乗り、流れ星を見に行ったりしたかと思えば、雪兒と下町のおやじが巣くう茶餐廳に行き、映画監督には庶民の生活を観察する必要がある、なんてほざくにいたっちゃ、殴ったろうか状態(爆)。これが譚家明らしいところ。
しかしこの映画の面白いところは、そんな芸術家野郎が、病院では、女性陣の前で、排せつしなくちゃいけなかったり、最後には全裸で前だけかくしてロッジの中をいったり来たり、砂浜を走り回わったりするし、お金持ちはカーボーイよろしく鞭を振り回して、べたべたコメディを演じてるところかも。
監督・譚家明の百年ぶりくらいの新作、郭富城(アーロン・クォック)と楊采[女尼](チャーリー・ヤン)主演の《父子》(id:hkcl:20051123参照)がとっても心配だ(笑)。
さて楚原は、本業の映画監督の方で、「[王攵]瑰・蝴蝶・紅葉:楚原的秘密花園」という特集上映が香港電影資料館で、1月20日から3月4日まで行われる(主に土日の上映)。詳しくは→ココ。見たい映画がいっぱい、がんばろうっと。


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