爾冬陞、水中に沈んだ村を撮影

萬宜水庫爾冬陞(イー・トンシン)は香港電台のために呂頌賢(ジャッキー・ロイ)が出演する《獅子山下−水中的故郷》を監督、10数日で撮影を終えた。萬宜水庫(Hight Island Reservoir)の底に沈んで30年経つ村落を探すのにまるまる5日かかったと爾冬陞は言う。また、水底は真っ暗で、竹林や木がぼっと見え、感覚的にはお化け映画を撮っているようで、びっくりしたと話した。by 2006.5.25「明報」

物語は、ダイビング好きの主人公(呂頌賢)が、燗泥湾村出身の祖母のために、萬宜水庫に潜り、祖母の形見の玉のブレスレットを探そうとするうちに、村の遺跡を発見するというもの。
撮影を開始して2日は村を捜し出せなかった。そこで古い地図をよく検討、正確な村の位置を調べ、「拝神」をしたあと、水中40メートルほどのところに村を発見、日用品や瓦などが当事のままのこされていた。

  • 1965以前、萬宜水庫の場所は燗泥湾村と呼ばれており、300年以上前の清の時代から人々が住んでいた。当事村内には、50戸400人の客家人が住み、農業や漁業に従事していた。燗泥湾はまた萬宜湾ともよばれていた。
  • 1965年政府は、水庫(レザボア)建設に燗泥湾村を含む一帯を選んだ。住民から強い反対が起こり、6年間の話し合いの結果、政府は燗泥湾村の住民をすべて西貢の旧市街(現在の西貢埠頭近く)に移動させることで決着。燗泥湾村の建築はそのまま水没して現在に到っている。
  • 1971年、萬宜水庫は建設開始。工費は13.5億香港ドル
  • 1978年、萬宜水庫竣工。萬宜水庫は現在でも香港で最大の水庫。貯水量は2.8億立方メートル。

by 2006.5.25「明報」(抜粋)

この放送は今週末。《獅子山下》第1回は、陳奕迅(イーソン・チャン)が出演していた。《獅子山下》は全部で10話作られ、制作費は全部で300万香港ドル。また来年の香港返還10周年に向け香港の歴史を回顧する番組も企画中だという。