爾冬陞vs皓星電影公司

今週月曜日、香港の著名監督・爾冬陞(イー・トンシン)と皓星電影公司の、監督契約の履行と映画《三少爺的剣》の版権問題について、香港高等法院で正式に審議がはじまった。皓星電影公司は、会社と爾冬陞の契約は2年で、6本から8本の映画製作、さらに2作品は監督をすると爾冬陞は同意していた。しかし最終的に製作したのはたった3作品(《男人四十》《異度空間(カルマ)》《好心相愛》)だったため、契約を履行できなかったとし、また爾冬陞は《三少爺的剣》を皓星に転売し、合わせて620万香港ドル(約9300万円)の賠償を求めた。
この日法廷で、爾冬陞の弁護士・李柱銘*1は、爾冬陞と皓星の社長・王海峰(アレクサンダー・ウォン)の契約は、2001年から2002年の2年間に、爾冬陞は6本から8本の映画を製作し、2作品を監督、報酬は540万香港ドルだと話した。ただし2002年になっても爾冬陞は3本しか製作していなかった。李柱銘は、爾冬陞は王海峰に対して、書面あるいは口頭で10本以上の異なった映画のアイディアを提出しており、その幾つかを王は受け取っているが、最終的にはさまざまな原因で撮影できなかったと解説。李柱銘は、アイディアを提出することは爾冬陞の仕事と見なせるが、映画が撮られなかったことは彼の責任ではないとした。さらに爾冬陞は、皓星電影公司に対して60万香港ドルの報酬の未払いについての審議を申請した。
爾冬陞が提出した古龍の小説を改編し撮影する《三少爺的剣》は、当事、爾冬陞が自ら古龍の子供から14万香港ドルで映画化権を買ったと言い、さらに爾冬陞は皓星にこの映画の版権を売った。しかし後で会社は、爾冬陞が取得した版権は実は転売ができないものだったことが分かったため、これについて爾冬陞に賠償を求めている。しかし李柱銘は、爾冬陞は1999年、武侠片は流行ると思い、古龍の著作版権所有者である古龍の子供から、《三少爺的剣》撮影の権利を14万香港ドルで購入した。その中の条件として、版権を売買または移動することはできないという項目があった。爾冬陞はまず嘉禾(ゴールデン・ハーベスト)にこの映画を薦めた。当事、嘉禾は興味を示し、また誠意をもって彼がこの映画のために出資した14万香港ドルを爾冬陞に支払った。しかし嘉禾は途中でこの企画を諦めた。そして爾冬陞は王海峰とこの映画の撮影を話し合った。誠意の意味で王海峰は14万香港ドルを越える21万香港ドルを爾冬陞に支払った。李柱銘は、これは皓星が爾冬陞から版権を買ったということにはならず、あくまでも「誠意金」であり、これは業界内の決りである。ゆえに爾冬陞は版権を転売してはないとした。この審議は引き続き行なわれる。by 2006.6.14「yule.shou.com」

邵氏の《三少爺的剣》は爾冬陞主演。つまり爾冬陞は自分がかつて出演した映画をリメイクしようとしたわけだ。皓星電影公司で爾冬陞が撮るといわれていた作品は当初、張國榮レスリー・チャン)が主演候補になり、その後、鄭伊健(イーキン・チェン)と郭富城(アーロン・クォック)などとも言われ、さらに監督が爾冬陞から徐克(ツイ・ハーク)に変わったなどとも言われていた。

*1:李柱銘は有名な弁護士