《放・逐》カット!?

任達華(サイモン・ヤム)、黄秋生(アンソニー・ウォン)、呉鎮宇(ン・ジャンユー)、張家輝(ニック・チョン)らが主演の映画《放・逐》は、先だってベネチアで上映、反応は悪くなかった。香港公開は明後日(今週の木曜日)だが、上映前の等級付けで、監督の杜琪峰(ジョニー・トー)もびっくりする事態が起こった。劇中、ヤクザのボス・任達華とヤクザの林家棟(ラム・ガートン)が会い、握手をする場面がある。この握手の仕方が、黒社会独特のものだということで、映画はIII級指定必至、もしIIBで上映するなら、この部分を削除しなければならない。
・違う? そう?
寰亞と杜琪峰が力説したが、電検処(映倫のようなもの)は譲らない。というのも電検処は、黒社会の専門家にこの映画を見せ、この握手が黒社会の挨拶の仕方であると確証を得ているからだ。従って18歳以下の青少年に悪影響をおよぼす可能性ありとして、III級に指定は免れない。映画会社は、この映画に4000万香港ドルを投資しており、III級指定で観客が減り興行収入に影響がでるのは避けたい意向。監督はこの部分をカットしたくはないが、IIBで上映できないのであれば、受け入れざるを得ないということになった。
記者は昨日、杜琪峰に確認したところ、「最初から最後まで、この映画は黒社会を描いたわけでない。従ってこの左手での握手も、ただカメラ位置のため。しかし電検処は専門家に見せて、これは黒社会のものだと言う。これについては、彼らと論議することが出来ないが、私たちも江湖の人物に見せたところ、違うと話している。電検処がかたくなにそうだといい、カットしなければIIBでの上映は出来ない。私も投資者利益を鑑みれば、受け入れざるを得ない。この部分をカットしても映画全体のストーリーには大きな影響がないし、このシーンだけで映画がIII級に指定されるなら、馬鹿らしく、私も嬉しくない。この映画にとっても、いいことではない。」と話した。
寰亞の責任者・荘澄は電検処の決定には驚いており、黒社会の人でも知らない動作で、この映画がIII級に指定されるのは遺憾だという。「この動作は普通の人でもやったことのあるものだ。このようなごく普通の動作にも黒社会の要素があるというのだから、奇怪きわまりない。私たちも黒社会の人たちに見てもらったが、黒社会の人でもこの動作を知らなかった。しかし電検処の専門家はそうだと言う、もしかしたら昔の黒社会の動作で、今の人は知らないのかもしれない。だとしたら、それでもそうだということになるのだろうか?」と話した。
・プレミアではオリジナル、一般上映にはカット版
今日《放・逐》はプレミアが行なわれ、オリジナル版を観客に見せる。しかし明後日からの上映では、この握手のシーンはカットされる。荘澄は「明日のプレミアは会社が会場を押さえているので、オリジナルを上映することは問題がない。しかし私はもし政府が映画産業を助けてくれる気が本当にあるなら、彼等は専門家にこの動作を見せるだけでなく、映画業界の代表者にも見せるべきではないのか。そうすれば、客観的にはっきりと見られたのではないかと思う。業界人は、映画が何を表現しようとしているのか容易に理解できるだろう」と話した。by 2006.10.17「蘋果日報

これはちょっと酷すぎる。この場面覚えてるが、たとえ、これが黒社会の握手だとしても、だからどうだというのだろうか。はっきりいってしまえば、この映画は立派に黒社会を描いたもので、黒社会を借りて、男の友情を描いたものなのだ。映画の内容は黒社会でもIIBで、その動作があるとIII級指定になるというの摩訶不思議。というか無意味な。
香港亞洲映画祭では、もちろんオリジナル上映。見ておいてよかった。