呉清源(呉清源 極みの棋譜)

張震張震チャン・チェン)、張艾嘉(シルビア・チャン)、伊藤歩柄本明松坂慶子 
田壮壮ティエン・チュアンチュアン):監督


中国に生まれ、少年時代に日本へ来てプロ棋士になった呉清源の半生を描く。
映画は、もっぱら呉清源の心の中を描いていく。彼の心には碁と信仰の2つが、大きな割合を占めている。
中国から日本へやってきた青年が、日本国籍を取得するが、日本は中国へ攻めていく。日本人として兵役につくべく身体検査にいくと、過去の結核のため兵役は免除されてしまう。自分の帰属すべき社会はどこなのか、よりどころを求めるごとく新興宗教に傾倒して、一時碁を放棄してしまう。ついには自分が帰属すべきところはやはり碁の世界以外ないと認識するが、今度は交通事故にあう。心はいつも落ち着きどころをもとめてさまよっているようだ。


呉清源の心の中は断片の積み重ねで描かれてゆく。最初は映画のリズムになれず少し退屈な気がしたが、だんだんと呉清源の心と同じように、観客の心もたゆたっていく。台詞は多くなく、動作、態度で心持ちを表すのだが、字幕は少々丁寧に説明を付けている。言語はほとんど日本語。
ちなみに呉清源は存命中で、映画最初に、張震が実物の呉清源と妻の和子に会う場面が写る。
2007.3.21@香港国際電影節(UA時代広場)


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