女人心

《女人心》周潤發(チョウ・ユンファ)、繆騫人(コラ・ミャオ)、鍾楚紅(チェリー・チェン)、曾志偉(エリック・ツァン) 
關錦鵬(スタンリー・クワン):監督 1985年 邵氏 DVD


寶兒(繆騫人)は夫のディレク(周潤發)に愛人がいることを知り、離婚を切り出し、息子を連れ家を出て別居することにした。寶兒は、独身女性の会を名乗る友人たちと集って気を紛らわす。夫の愛人オーリー(鍾楚紅)はスタイルがよく奔放で、寶兒とは正反対。息子は、夫婦が元通りになることを望んでいるし、自らも未練はあるのだが、なかなか素直になれない寶兒。ついに離婚証書にサインする日がやってくる・・・。


關錦鵬の監督デビュー作。女性の揺れる心理を描いていく。登場する女性はさまざまで、夫が浮気している寶兒、30男(曾志偉)に求愛される四十路の女性、男性に興味のないレズビアン、夫も子供なく歳をとっていくことを悲観して自殺未遂する女性など。途中男のどこが好きかという会話では、肉体、細い尻、胸毛、ごつごつした指が好きなどという会話もあり、当時としては割と直裁な表現だったのかもしれない。男の方も、ぴったりくる女性がいないと独身なスポーツマンや、90%は女性が好きだが10%は男性が好きかもしれないという芸術家などが出て来る。この芸術家、レズビアンの女性に是非寝てみたいと懇願してみたりもする。デビュー作からすでに性的倒錯。


この周潤發はまだ細くて、女ったらしなイメージでなかなかよい。愛人役の鍾楚紅との戯れシーンなど色っぽい。いまやこのころの色気がないのがいたく残念(ないというより、こういう役はやってくれないというのが正しい言い方かもしれないが)。繆騫人は、前年(1984年)公開の《傾城之恋(傾城の恋)》と少し似た雰囲気で、あきらめ勝ちで、思ったことをなかなか口に出来きず、感情も抑えてしまうタイプ。正反対な鍾楚紅の役は、思ったことがすぐ行動に出るタイプ。女心もだが、男の周潤發の心も2人の女の間をいったりきたり、決めかねている。この夫婦、一度は壊れて、再生できそうになるが、最後は曖昧に話しは終わる。
それにしてもこの映画に登場する男女、働いている姿が出てこない。それはどうでもいいということなのだろうけれど・・・。


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