黒蜥蜴

黒蜥蜴爾冬陞、潘冰嫦、岳華、孫建 
楚原:監督 邵氏 1981年 DVD


「ここは蜥蜴池。昔々ここで蜥蜴は精霊になり、3年ごとに現れては、人を殺めると言い伝えられている」と言って話しは始まる。
龍飛(爾冬陞)は、[金票]局(警備会社)丁家の娘・紫竹(潘冰嫦)と仮祝言をあげた。翌日、龍飛は犯人を護衛して京へいかなければならない。帰って来るのは2年後になる。仮祝言の場で紫竹は、隣に住む[金票]頭の蕭家の当主(岳華)と妻、そして自分と同じ日に生まれた若雨を紹介する。そして自分の母と若雨の母は姉妹だと話す。また、このあたりには不思議な言い伝えがあって、ここ蜥蜴川と蜥蜴湖には、千年蜥蜴が精霊となっており、赤い衣を着たものは伝説では妖怪だと言われており3年に一度現れる。昨年亡くなった何人かは妖怪の仕業だと言われていると話す。
任務を終えて、帰る龍飛の前に謎の人物が現れ、許嫁の紫竹は死ななければならない、早く帰ることだと告げる。いそぎ馬を走らす龍飛の前に、赤い衣をまとった人物が棺桶を運んで現れる。棺桶の中には紫竹そっくりの木で出来た人形が横たわっていた。家に帰り着くと、隣の蕭家では事件が発生し、空きやに変わり果てていた。


黄鷹之の同名の武侠小説の映画化。武侠映画らしからぬ話しの展開は、横溝正史ものでも読んでいる感じ。謎解きがあって、両家の因縁があって、木の人形やら、赤い衣の妖怪だの、死んだはずの人物が現れたり、両家を結ぶ秘密の抜け道だの、蜥蜴伝説だの。金田一とはいかないが、龍飛が謎を探っていく。とても面白い。2つの家をいったり来たりするという空間も面白い。
黄鷹之は、1970年代末期の武侠小説家で、ドラマ化や映画化された作品も多いようだ。同じく黄鷹之原作、楚原監督、邵氏映画で《妖魂》という作品もあるようだ。
この映画、すべてセットで撮影されており、室内のセットは精緻だし、屋外を模したセットは奇妙な感覚で面白い(もちろん上映当時はリアルが求められたのだろうけど)。それがこの奇妙な話しに妙にマッチして、より面白く感じる。ただひとつ笑うのは、まるでワニのような蜥蜴。
爾冬陞、岳華、孫建の立ち回りも綺麗。


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