戲王之王

《戲王之王》詹瑞文(ジム・チム)、蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)、曾志偉(エリック・ツァン)、杜汶澤(チャップマン・トー)、黄秋生(ウォンアンソニー・)、黄浩然(レイモンド・ウォン)、許紹雄(ホイ・シウホン)、葉璇(ミッシェル・イエ)、譚耀文(パトリック・タム)、何超儀(ジョシー・ホー)、谷祖琳(ジョー・クー)、林雪(ラム・シュ)、田啓文(ティン・カイマン)、許鞍華(アン・ホイ)、陳果(フルーツ・チャン)、葉偉信(ウィルソン・イップ)、麥兆輝(アラン・マック) 
陳嘉慶(チャン・ガーヒン)+梁柏堅(パトリック・レオン):監督


ある日、臥底がTシャツに「演技太差」(演技が下手)と書かれて殺されているのが発見された。警察は、署内の演芸大会で毎回優勝している文龍(詹瑞文)を演劇学校に送り込み、演技を学ばせることにした。


詹瑞文、舞台の人だが、これまで映画ではちょっと出て来ては、強烈キャラでその場をさらって行くという使われ方だったが、今回は初の主演。演劇学校で彼の形態模写が爆発するのかというと、そういうことはないわけで、心配していたとおり、笑いたくて見に来た人にはたっぷり不満の残る出来。瑞文が面白いのは一番最初。子供相手になぞなぞを出したり、パンダになったりするところ。その他は蔡卓妍や黄浩然や田啓文の方が面白い。


周星馳チャウ・シンチー)の《少林足球(少林サッカー)》をひくまでもなく、喜劇の主人公は、いつもひたすらに一直線に自らの信じる道を行く。それが馬鹿げたことであろうと、笑われようと自らの信念をもって突き進んでゆく。そんなバカげた姿を笑いながらも、次第に彼のそんな行動の中に真実を見つけて観客は感動する。
この映画では、瑞文の信念が途中で見えなくなってしまう。しかし蔡卓妍扮するIII級片女優が、十分にこの役割を果たしている。大陸から出て来た單丹(蔡卓妍)は、北京語なまりの広東語を話してIII級片に出演しながらも、演技を学ぼうと演劇学校に入学していくる。好奇の目で見られても、へこたれることなく、最終的には麥兆輝(麥兆輝)監督に見いだされ、普通の映画に主演、映画賞を受賞する(まあ誰かをモデルにしているかもしれない)。
だとしたら瑞文は、演技を勉強しおえ、臥底として見事(!?)に事件をどんどん解決してみせ、終いには臥底の手本になると考えるのが割と順当なのだと思うが、そのあたりがどうも曖昧で切れが悪くて、笑えない。ご丁寧に演技論なども登場してしまって、意外にマジ(本当の意味でマジ)になっているところも、どうも面白さにかける所以かも。主人公のバカ(純粋)さ加減も足りない。
舞台で面白いからといって映画では必ずしも面白いわけではない。難しい。
そうそう黄浩然は、シェイクスピアの台詞をマジに言ってみたりして、変なところで演技力を発揮してしまっている(笑)。
2007.6.19@旺角百老匯


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