鄒文懐リタイア

半世紀にわたり映画界を駆け抜けた嘉禾(ゴールデンハーベスト)主席、鄒文懐(レイモンド・チョウ)は先日、嘉禾主席及び執行董事の職務を辞すと発表した。自らが作りあげた映画王国を約2億2百万香港ドルで大陸の橙天娯楽集団に売り渡した。昨日鄒文懐と、同じく嘉禾執行董事の職を降りた娘の鄒重珩らは、尖沙咀の会社で記者会見を開き、マスコミに株売り渡しにつていて説明した。


鄒文懐は、今回の株譲渡は純粋に自分が高齢になり、リタイアしたいという思いからだと強調した。「株を売った主な理由は、自分がすでに80歳の誕生日を過ぎたから。映画界で50年、どんな人でも50年働いたら当然リタイアだ。若い人たちを見て初めて、自分はすでに歳を取ったと分かる。誰でもこの歳になれば、脳も眼も衰える」と話した。半世紀を映画に捧げてきた鄒氏は、妻や家族と過ごす時間も少なかった。いつまでもここに居て、中国映画の発展を妨げてはいけないと考えた。またどんなものにも終わりの日がある、自分が満足できる相手にバトンタッチが出来て嬉しく思っているという。また最も嬉しかったのは、昨日朝食時に新聞を見て、すべての新聞が彼の仕事とその成果を報道しているのに夫人が感動したというのを話したのを聞いた時だったという。


娘の鄒重珩もすでに嘉禾の董事の職を辞しているが、彼らは3か月は会社顧問となり、その後正式に会社を去り、橙天娯楽董事長・伍克波が嘉禾の新しい主席兼執行董事になる。自らの会社を他人に譲るわけだが、鄒氏は最も慰められるのは、情熱を持った人物を探しあてられたことだと話す。「自分はしたいと思っても力がなく出来なかったことが沢山ある。嘉禾を後輩に手渡すが、伍克波の配下には20以上の会社があり、私の構想とよく似ているし、さらに私たちよりも優れている。もし80歳で嫁げなかったら、嫁ぐのは難しいだろ(=今しか売り渡す時はない)。(大陸の企業に売るわけだが、これは香港映画産業のこれからの方向性を暗示するものだろうか)この企業は各方面の条件が相応しかった。さらに娯楽産業に従事して長く、会社は全面的に映画産業帝国だ。スタジオ、製作会社、音楽製作など、規模も大きく、発展している。by 2007.11.6「文匯報」(抜粋)

嘉禾が最後に製作した映画は2003年の《行運超人》らしい。
「嘉禾」という名はずっと残るのだろうか。残ったとしても、会社は香港にあっても、嘉禾はもう香港の映画会社ではないような気がする。
映画会社にしても、映画雑誌出版にしても、もう大陸の力を借りなくては何も出来ない。しかし大陸は大陸で、香港の会社が築いた基礎や、香港の俳優たちや監督たちの力が必要なのだろう。