飛女正傳

蕭芳芳、龍剛、薛家燕、沈殿霞、曾江 
龍剛:監督 1969年 カラー 粤語 榮華


ジョセフィーヌ(蕭芳芳)は、友人とバーで踊っているところをチンピラにからまれた。思いあまってビール瓶でチンピラの頭を殴ってしまい相手に怪我をさせた。裁判で涙ながらに温情を求める母の思いをよそに、ジョセフィーヌは家には帰りたくない監獄に入れてくれと叫んだ。
ジョセフィーヌは裕福は家庭に生まれたが、父が病に倒れ、母は別の男(龍剛)を家に引き入れていた。さらに父が亡くなってからは、母は父の後を引き継いで家業に忙しく、娘をまったくかまわず、お金でその埋め合わせとしようとしていた。娘は友人と遊びほうけ、その結果、他人に怪我させることになった。
ジョセフィーヌは感化院(か少年院)で当初はいじめられたものの、うまくやっていく術を身につけていった。しかし事業に失敗した母が自殺したことを知り、母の愛人と思われる黎成(龍剛)が母を死に追いやったにちがいないと考え、密かに復讐を誓い、同じく様々な理由から外へ出ようとする仲間たちと脱走を企てたのだった・・・。


始まってすぐにとっとと蕭芳芳が感化院に入ってしまうので、ひょっとして女囚ものかと思ってしまった(汗)。多少そんな塀の中の風景も登場し、女囚たちを温かく見守る院長(曾江)に助けられ反抗的な彼女たちの性格も改善されたかと思わせる。しかしジョセフィーヌの母の死をきっかけに、物語は加速して脱走からクライマックスへと進んで行く。実は最後には院長の「少年少女たちの非行は社会の責任だ」という説教くさい言葉がまっているのだが、それを差し引いても映画が魅力的なのは、ひとえに蕭芳芳のおかげだ。鋭いまなざしと長い手足を持て余すような振る舞いが、やり場のない少女の思いを十二分に表している。薛家燕と沈殿霞はともに感化院の友人で、薛家燕は共に脱走、沈殿霞は刑期満了で外へ出ることになる。
2008.3.13@香港科学館「沈殿霞記念展」


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