一角之戀

《一角之戀》何素煕、陳曉華、余敏鳴、陳文進、張徳光 
張偉雄:監督


旺角を舞台に数組の男女の恋愛を描く。
監督少々知り合いなので、褒めてあげたい気持ちはいっぱいなのだが、これがなかなか褒められない。デジタル撮りで色が悪く、夜のシーンも多いが、これが決定的に何も見えない。解説でわざわざ旺角が舞台とことわっていなければ気がつかないほど、旺角の風景が出てこない。
旺角を舞台にして若者を描いた映画は最近では《擁抱毎一刻花火(恋する花火)》(id:hkcl:20050920)や《魔術男》(id:hkcl:20071007)がある。また今回の映画祭で若者を描いた映画は劉國昌(ローレンス・ラウ/ローレンス・アモン)の《圍城》(id:hkcl:20080323)、崔允信(ヴィンセント・チョイ)の《愛情萬歳》(id:hkcl:20080325)、さらに《烈日當空》(九降風之香港編)(id:hkcl:20080402)などが上映されている。そのどれもが、どこかに新鮮な感覚を持っているのに対して、残念ながら《一角之戀》は台詞が理屈っぽく、たたずまいにも新しさを感じない。上映後のティーチインでは、若者にインタビュー取材したのかと聞かれてしまっているほどだ。何か明らかに間違った方向に行っているとしか思えない。
100歩譲って画面の悪さはあきらめるとしても、同じようにほぼ素人をキャスティングした《圍城》や《烈日當空》のように、きらっと光る個性的な出演者の顔さえ見えればそれだけでもよかったのだが・・・・。その願いも叶わなかった。
2008.3.29@香港国際電影節(科学館)


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