水火之間

《水火之間》韋偉、李清、陳絹絹、江樺、劉戀、馮琳 
朱石麟:監督 龍馬 1955年 モノクロ 粤語 無字幕


沢山の人が住むアパート(隣の部屋との境は板で仕切っただけで、天井近くも足下も隙間がある板間房と呼ばれる部屋が並ぶアパート)を舞台に庶民の生活を描く。嫌みな大家がいて、貧しいくも清く生きる親子、いつもいがみ合っている者同士、夜の仕事で生計をたてる女の1人ぐらし、人のいい大工、教養人で人のいい夫に口の悪い妊婦の妻とその娘、目の不自由な母をかかえて働き口をさがしている娘らがいる。卵を盗んだ、ゴミを隣に吐き出す、子供同士の争い、水の取り合い、意地の張り合い、怒鳴り合いが繰り広げられる。
水の取り合いからはじまり、大家が電気代を払い忘れ、電気を停められ、大家の不注意から小火騒ぎになるが、これがきっかけでアパートの住人が団結、最後には歳若い娘を夜の仕事に世話しようとする叔父に皆で立ち向かう。


いきなり共同の厨房で女性たちの場所の取り合い、口達者な女性たちの意地の張り合いから始まる。その後も威勢のいい女性たちのやりとりがやかましいほどにぎやか。物語は、のちの王為一監督《七十二家房客》(1963年)(id:hkcl:20050406)に似ている。この群像劇は、古くは上海の滑稽劇だというから、上海出身の朱石麟は知っていたのかもしれない。自己中心な人々が最後には、みなで力を合わせればより快適な生活が送れることに気がつく。話しはみえみえだが、これがなかなか面白く、最後には拍手する観客がいたほど、今見ても十分に楽しかった。
2008.5.3@香港電影資料館「大時代小故事:朱石麟的電影世界」


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