細路祥

《細路祥》の李小龍。李小龍、李海泉、伊秋水、陳惠瑜、馮峰 
馮峰:監督 粤語 モノクロ 1950年 大同


祥(李小龍)は父母を亡くし叔父(伊秋水)に育てられている。叔父の妻はやはり亡くなっており2人の子供と甥の3人で暮らしている。本来は教師だが職はなく、街頭で貸本屋をほぞぼそと営んでいる。
ある日実業家が、貧しい人々を助けるため学校を建てると発表、叔父の引率で祥たちが住む貧困地区へ視察にやって来る。それを見たスリが実業家の財布と実業家の娘のネックレスをすってしまう。警察に追われたスリの飛刀李は祥の住まいに逃げ込んだ。祥は飛刀李をうまく逃がしてやったが、スリは祥の家にネックレスを隠して行った。叔父がネックレスを見つけ、祥と共に実業家に返しに行く。少々の金銭を期待した叔父だったが、実業家は礼を言うだけ。ところが娘が礼金を与えろとうるさい。実業家は祥を娘と同じ学校に入れやり、叔父を解雇したばかりの秘書の後がまに据えた。
実業家は製衣業を営んでいるが、ドラ息子は工場長と組んで仕入れた布地を横流しして遊びの資金にし、さらには女工にいいよるろくでなし。
祥は学校で教師にも同級生にも虐げられ学校を止めて、飛刀李の元へ・・・。


李小龍ブルース・リー)が、芸達者なところを見せて、物語をどんどんひっぱっていく。きちっとした台詞回しに仕草、ユーモアも勇気も正義感も持った祥を思う存分演じている。8歳のこの時からすでに親指で鼻をなでる癖があるが、これは演出なのか本当に癖なのか? 
叔父の愚直さ、女工の優しさ、スリの義侠心など、貧しいものたちが正義で、金持ちはずる賢いという分かりやすい構図。しかしそんな金持ちのずる賢さに負けず、貧しいものが団結して金持ちをぎゃふんと言わせる痛快さ。最後にはスリも心を入れ替え、正業につこうとする道徳的展開。今見ても十分に面白く、飽きない。
香港電影資料館は、この映画のフィルムをロスの劇場で発見するが、一部が欠けていたため、その他の映像を集めて1本の完全版(広東語版)にまとめた。
2008.6.22@香港電影資料館「本土關懷」


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