父子情

《父子情》石磊、李羽田、鄭裕柯、朱虹、容惠雯 
方育平:監督 1981年 カラー 粤語 無字幕 鳳凰


筲箕灣の山肌に建つバラックに住んでいる一家の父親はサラリーマン。女ばかりの姉妹の中で唯一の息子は父の希望の星だが、勉強は嫌いで芝居だの映画だのが大好き。小学生の時には腕白で転校を繰り返す日々。父は自分と同じ苦労を息子にはさせたくないのだが、その気持ちを素直に言えず、息子を叱ってばかりいる。息子は息子で父の気持ちを理解できない。中学に入っても映画好きは変わらず、八ミリをどこからか借りて来て、家の本を売り払ってフィルムを買ってしまう。妹は勉強が好きで成績もいいが、父は妹には進学させず、妹は看護婦になる。姉は工場(電子基板のハンダ付け)で働いているが、弟の為に工場長と結婚、弟を海外に留学させようとする。息子は大学には行かず俳優になろうと無線電視の訓練班を受ける。合否の通知が来るが、中身を見ず破り捨て、最後には父の希望に従って留学することになる。


監督・方育平(アレン・フォン)の自伝的物語。劇中登場する細かい描写がとても興味深い。年かさの子供が、絵が描かれたセロファンを幻灯機に掛ける映画もどきを勝手に上映してお金を取っていたり、石蹴りをしていたり、ゴム跳びなどの子供の遊び。子供たちがさまざまな寄付を募る時、「買支旗」(旗を買って)と言って寄付を募るのだが、今買うのは旗ではなくシール。この映画ではちょうどお子様ランチに立っているような小さな旗を子供たちが手に持ち「買支旗」と言っている。お金を入れるのはペンキのカンのようなものだった。旗を買った人は胸にその旗を付けてもらう。前から「買支旗」を聞くたびに、昔は旗だったんだろうとは思っていたのだが、ようやく疑問が解けた。
2008.6.28@香港電影資料館「本土關懷」


■□08年に見た映画一覧□■