ICAC:両個故事

《ICAC:両個故事》《水》
劉松仁、馬笑英、蘇杏璇、香海 
陳韻文:脚本 嚴浩:監督 1979年 カラー 粤語 無字幕
夫は監獄に入っており、妻(蘇杏璇)は酒樓の皿洗いでなんとか老母(馬笑英)と息子を養っている。そんな家族の元に、監獄の役人だという男が尋ねてくる。夫は監獄の中で怪我をさせられており、よい手当を受けるには金がいるといってくる。妻は相手にしないが、母はいてもたってもいられず、代書屋に相談し、翡翠の腕輪を質に入れ200ドルを作る。代書屋は役人に金を渡すのは賄賂だと考え、ICACに知らせに行く。老母は200ドルを詐欺師に渡してしまっていたが、さらに欲をかいた詐欺師が家にやってきたところに、ICACがやってきて犯人はみごと捕まる。


《火》
關聰、鄭子敦、阮兆輝、駱恭、韋以茵 
陳連心:脚本 嚴浩:監督 1979年 カラー 粤語 無字幕
ジーンズ縫製工場で火事が起こる。祖父が酔ってタバコの火の不始末で火事になったとされ、さらに本人も火傷を負った。しかし燃えてしまったと思われていたシーンズは実は何者かが火事に乗じて持ち去っており、密かに出荷されていた。工場は火事で保険を受け取り、さらに燃えなかったジーンズの代金も懐にいれていた・・・。


一般市民に「騙されないようにしましょう」「不審に思ったらICACに届けましょう」という啓発ドラマ。細かい描写から当時のごく普通の市民の生活が分かる。
《水》の方で、妻は皿洗いをしているが、この皿の洗い方がすごい。ザルにコップや皿を入れ、ザルを水をはったバケツに入れ、上下左右に揺らして汚れを落とす。ん・・・。こんな洗い方の酒樓にはめぐり合いたくないものだ。《火》の方では、やけどした祖父に500ドルの見舞金が支払われる。孫娘と叔母はその金で大安売りのジーンズを仕入れ、屋台を出して売る。その大安売りのジーンズが実は横流しされたものではと、孫娘が不審に思うことも、事件解決の助けになるのだが、見舞金で物を仕入れて売ってしまおうとする孫娘のたくましさに感心する。
解説によると上環地区が背景とあるが、トラム沿いの灣仔の質屋(ココ)も登場する。ちなみに「水」はお金を意味する。
2009.2.21@香港電影資料館「蛍幕新潮 ─許鞍華+嚴浩的電視影片」


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