短暫的生命

《短暫的生命》唐寧(レイラ・トン)、邵美[王其](マギー・シュウ)、張文慈(ピンキー・チョン)、彭敬慈(サミュエル・パン)、呂慧儀(コニー・ルイ)、羅芷晴(ヨーヨー・ロー)、張兆輝(チョン・シウファイ)、許紹雄(ホイ・シュウホン) 
羅守耀(デニス・ロー):監督


羅監督(張兆輝)は、友人(許紹雄)が日本料理の腕を披露するというので、車を走らせ彼の家へ向かった。宴の席で意気投合した重案組の猫姐(張慈文)から聞いた話しが今も忘れられない…。


ある日、若い母・李碧琪(唐寧)は11歳になる娘の何曦兒(羅[艸/止]晴)を連れ街に出た。娘は街で突然倒れ病院へ運ばれたが、ほどなくして亡くなった。娘の足や手には痣が多数あったため、母はすぐ警察に拘束された。猫姐は部下を引き連れ李碧琪の家へ向かった。家から出て来た李碧琪の内縁の夫(彭敬慈)が破棄しようとしたパソコン、部屋の中で燃やしていたテープ、洗濯中の下着などを押収した。
李碧琪は娘を叩き、その時に誤って娘は頭部を壁にぶつけたのだと話した。内縁の夫・阿強のパソコンからは曦兒の写真、ビデオからは曦兒へ性的いたずらをする阿強の姿が見つかった。李碧琪は、阿強が曦兒にいたずらをしていた事を知らなかったと言い張った。
警務處助理處長の王瑞芳(邵美琪)は口の堅い李碧琪に違法とも思える手段で事実を話すように強要していくのだった……。


父や義父が娘を性的玩具として扱うという今までの香港映画では扱われなかった題材。それゆえIII級。キワ物なのかと思っていたが、一応丁寧に作ってはいる。しかし話のどこにフォーカスするかが問題だ。この物語ならやはり母親にフォーカスすべきだと思うし、そうしようとしている。しかし邵美琪扮する警察やその部下が李碧琪を取り調べていく違法とも思える手段がエキセントリックに描かれているため、ついそちらに目を持っていかれてしまう。従って李碧琪が娘と内縁の夫の関係を容認してしまうに至る心理状態が、ただ彼女の回想で語られるにすぎない。彼女の人生をあぶり出してこそ、この母親の心理状態を描けるはずだし、この部分こそ、この映画で語られなければならないのだと思う。だからこそ王瑞芳と娘の関係をも映画に描き込んでいるに違いない。この語らなければならない部分が弱い。何故、この母(いやこれらの犯罪を見逃しているすべての母親)は、口をつぐんでいるのか。もしその事実に深く切り込んでいったら、香港映画では珍しい社会派の映画が出来上がっただろう。衝撃的なコピーとポスターやトレイラーに比べ、衝撃を見せてはくれない映画だった。
2009.3.20@新寶戲院


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