二十四城記(四川のうた)

賈樟柯監督。陳沖、趙濤、呂麗萍、陳建斌 
賈樟柯ジャ・ジャンクー):監督


成都の国営工場420工場は、50年間にわたり空軍などに製品を供給していた工場だ。ここが取り壊され、近代的な住宅やホテルが建てられることになった。この工場で働いて来た人々へのインタビューを通して、中国の都市の変遷をかいま見る。詳しくは日本の公式サイトへ。


当初はドキュメンタリーを撮るつもりだった監督は、多くの人にインタビューするうちにドキュメンタリーだけでは表現できないことがあると感じたようだ。それがこの映画がドキュメンタリー部分と役者が演じるフィクション部分が混載されている所以だ。上映後のQ&Aは北京語だったため不確かだが、フィクション部分も多くの人へのインタビューから生まれたものと言っていたようだ。だとすれば、フィクション部分がよりこの工場の、また人々の50年の歴史を象徴し、代弁することになっている。ドキュメンタリーにありがちな、本心を聞いてしまった居心地の悪さは薄れ、「物語」があざやかに浮かび上がってくる。劇中に多くの流行歌が流れる。台湾、香港、日本の流行歌だ。これについて監督は、大陸でも流行歌といえるのはこれら香港や台湾の歌で、流行歌はをれを聞くことでその時代を思い出すと話していた。
決して退屈ではなかった。賈樟柯がおおらかに成熟していた。
2009.4.13@香港國際電影節(香港科学館)


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香港國際電影節、終了。