舞火龍

火龍。中秋節の3日間(迎月、賞月、追月の3日間)、大坑では舞火龍が行われる。これまで行く機会がなかったが、今日(追月)ようやく行って来た。急に思い立ったため事前の調査が出来ていなかったので、友人に電話して昨年と昨日の様子を聞いた。おかげで火龍に火がつく前の状態も見られて、とても面白かった。ことし舞火龍は130周年。その由来は・・・

1880年中秋節の前の夜、台風が大坑を襲ったおり、大蛇(ニシキヘビ)が村にやってきて家畜を飲み込んだ。村人はみなで協力して廃屋で大蛇を叩き殺した。翌日、台風が去ったあと、大蛇は影も形も無くなっていた。その後、村に疫病が発生し、多くの人が亡くなった。その時ある道士が「実は大蛇は龍王の子だ。疫病の発生は村を罰しているのだ」と言った。また村のある老人は「神が救ってくれる夢を見た。それは龍王が最も恐ろしく思っているのは火の龍である。火で水を制す」と話した。それで中秋節の3晩に火の龍を舞わせることにしたところ、災難から逃れることができた。それ以来、村民は中秋節に舞火龍を行うようになった。

といわれている。
さて、その火龍だが、龍の原型になる部分は古くは稻、現在は珍珠草という草を乾燥させたものを縛って作る。その龍の原型に沢山の長い火のついた線香を刺して火龍が出来上がる。
火龍に線香を刺している現場は、煙いのなんの、灰はかぶるわ、眼は痛いはで大変。線香が刺さると、龍は命を吹き込まれたよう「ぶるっ」と身震いするように動き、その後大坑の街を力いっぱいに歩き走り回る。狭い裏路地も練り歩くので、すぐ目の前で火龍を見ることが出来る。写真を撮る人たちは、龍を追って路地を走り回っていた。8時ごろから11時ぐらいまでやってるようだが、思ったよりよく見えたので、9時すぎには維園に移動し、バスで帰って来た。


ところで、台風が大坑にやってくる話は、たぶん「台風で大蛇(大波)がやってきて家畜を飲み込んだ。台風が去ると大蛇はなくなった(台風が去って水が引いた)。その後疫病がはやった(洪水の後に疫病がはやった:水が汚染した)。龍王が恐ろしいのは火龍だ、火で水を制す(水を火で沸騰させる:消毒する)」という意味だと思うのだけれど・・・。