黛緑年華

《黛緑年華》紫羅蓮、梅綺、呉楚帆、張瑛 
左几:監督 粵語 無字幕 モノクロ 電懋 1957年


韓湘瑩(紫羅蓮)は、友人の范黛妮(梅綺)のお屋敷に住まわせてもらうことになった。お屋敷についた日、お屋敷では盛大なパーティーが開かれていた。黛妮は湘瑩に「母は毎晩パーティーを開いているの。でもあなたは絶対にかかわっては駄目。絶対に参加しては駄目なの」と話した。
毎晩毎晩、階下ではパーティーが開かれているが、湘瑩は学業にいそしんだ。しかし退屈だ。ある晩、こっそりと2階から降りて庭を散歩してパーティーの様子をのぞき見ていると、湘瑩がお屋敷にやってきた日、たまたま門のところで出会った男性・龔立群(呉楚帆)に庭であった。男は建築屋で図面を持って、屋敷のパーティーに参加している社長を待っているところだった。男は、近くに住んでいるので、退屈なら訪ねてくればいいと言ってくれる。
クリスマスイヴの日、黛妮が用事で出かけると、黛妮の母は湘瑩にすてきなドレスと靴とバッグをプレゼントしてくれ、イヴのパーティーに出席するように言う。黛妮の忠告が気になる湘瑩だが、好奇心と黛妮の母の「黛妮は自分勝手なの。自分がパーティーに参加するのはよいけど、友人を参加させるのはいやなのよ」という言葉を本気にして、ついに華やかなパーティーにデビューすることになった。
パーティーでは、ジョニーという名の青年(張瑛)に心惹かれていった。黛妮にパーティーデビューが知られるを恐れた黛妮の母は、湘瑩を屋敷の外へ連れ出した。そこへ黛妮が乗り込んでいって、母やジョニーたちをののしり、湘瑩を連れもどした。湘瑩は黛妮の真意が分からない。なぜそれほどまで湘瑩がパーティーの客たちと交流するのを嫌うのか。それでも湘瑩は黛妮に「二度とジョニーには会わない」と誓うのだった。
しかしほどなくして黛妮の母は、まんまと湘瑩を連れだした。そこでしたたか酒を飲んだ湘瑩は一気にジョニーへの思いを吐露した。ジョニーに抱えられ、ホテルの部屋へいった湘瑩だったが、翌朝目覚めると、そこにはジョニーの姿はなく、パーティー客の1人、薛行長(劉克宣)がいたのだった。泣き崩れる湘瑩だった・・。
そんな時、黛妮が妊娠してしまう。それを聞いた湘瑩は自分にも可能性があるのではと不安になり、さらに絶望を感じてさまよい、建設中の建物から飛び降りようとする。それを龔が見つけて、すんでのところで助かる。
湘瑩はお屋敷を出る決心をして、龔を訪ねると、龔と同僚の一家がドライブに行くところに出会い、一緒に出かける。ひとまず龔の住まいの隣に引っ越しを決め、お屋敷に戻るとジョニーが「心を入れ替えたので、どうか一緒になって欲しい」と懇願、湘瑩は再びジョニーを信じようとして、ジョニーの車で新しい仕事先だというホテルへ向かう。湘瑩を迎えにいった龔はジョニーらの車をつけていく。ところが湘瑩は正体を出したジョニーに襲われそうになる。すんでのところでまたも龔に助けられるのだった・・・。


なかなかすごいお話で、母はお金持ちの男と結婚して本来なら優雅な生活が送れるはずだったが、夫は商売に失敗して残ったのは別荘だけだった。夫も亡くなり、娘を育てるために、母は自宅を倶楽部にして毎晩客を呼び、3人の娘に接待をさせ売春もさせていた。物語の最後になると、長女の黛妮は妊娠して、堕胎させようとして失敗して亡くなり、三女は梅毒にかかり目が見えなくなり、次女は2人の姉妹を見て金目のものをすべて持って家を出て行ってしまうのだった・・・。


鄭慧の同名の小説の映画化。もちろん張愛玲とは関係のない作品で、参考作品として上映。いやいや、興味深い映画でした。物語、台詞など、今見ると失笑がもれる展開。よこしまな心の持ち主の私など、てっきりお嬢さまは最初から友人を陥れるつもりで屋敷に寄宿させるのかと思ってしまった。いっそそうだったら面白かったのに。主人公の判断力のなさに、しまいにはいらいらするほど。当時、どのような評価だったのか知りたいものだ。
ジョニーを演じる張瑛が、《風と共に去りぬ》のクラーク・ゲーブルのような髭を生やしているのだが、かっこいいどころか気持ち悪い。2010.2.5@香港電影資料館(借銀燈・張愛玲與電影)


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