海上花(フラワーズ・オブ・シャンハイ)

《海上花》梁朝偉トニー・レオン)、羽田美智子、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)、李嘉欣(ミッシェル・リー)、高捷(ジャック・カオ) 
侯孝賢ホウ・シャオシェン):監督 カラー 
上海話・広東話 1998年 侯孝賢映像製作有限公司


清朝末の遊郭を舞台に、女たちとそこへ通う男たちの物語。すべての場面が部屋の中で、女たちの思惑と男たちの都合が連綿と綴られていく。私にとっては毎回見るたびに必ず途中で睡魔におそわれる作品。それは見て退屈というわけではないのだが、ある意味うっとおしい世界のためだ。そのうっとおしさは遊郭という外からは隔絶された世界に存在する人たちのねっとりとした思いを表しているのだろう。うっとおしさは、室内の造形にも衣装にも現れていて、窒息しそうな感情も美術もその思いをもてあまして画面から外へひたひたとあふれてくる。ひたひたぐあいが眠気を誘う。


今回見て気がついたのは、映画は一貫して上海話で語られていくのだが、梁朝偉羽田美智子と話す場面は広東話になっていたことだ(梁朝偉上海語も自分で話していると思うが)。最後、梁朝偉扮する王爺は広東への栄転が決まる。その時、字幕では「回広東」と書かれている。王は広東から上海へやってきたという設定なのだろう。そうでなければ、広東語を話す理由が見つからない。ということは羽田美智子も広東からやってきたという設定なのだろうか。
初めて見たのはたしか銀座シャンテだったと思う。その時、羽田美智子ぴんとこなかったのだが、今見ると思いの外いいので驚いた。
2010.2.20@香港電影資料館(借銀燈・張愛玲與電影)


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