波斯夕陽情

《波斯夕陽情》鄧光榮、張艾嘉、陳曼玲、
龍剛:監督 1977年 カラー 国語 龍剛


イランのテヘラン映画祭に出席するため当地を訪れたスター阿倫(鄧光榮)は通訳の少女MITRA(張艾嘉)を知り互いに惹かれ合う。イスファハンに遊んだ2人は空港に向かう道で自動車事故を起こすが、本来乗るはずだったテヘラン行きの飛行機が墜落、乗客は全員死亡したことを知る。2人は乗客名簿のなかった飛行機に乗っていたことにし、逃避行を続けるようと考えるが、MITRAを思うボーイフレンドは2人の住まいを突き止め、香港からやってきた阿倫の妻が訪ねていく。妻の出現に身を引く決心をしたMITRAは置き手紙を残していくが、阿倫は妻に別れを告げMITRAを追いかけてゆくのだった・・・。


男は妻(もしくは恋人)と言い争うのが大嫌い。これは《珮詩》でも医者が妻に向かって同じようなことを言っており、妻と言い争いが起きそうになると家を出て行ってしまう。この男の心理は監督自身の心理なのか? この物語の最初、阿倫は結婚するにあたり、妻と言い争いはしないと誓っているが、妻はそのうち夫に不満を持ち言い争いが耐絶えなくなる。最後にはMITRAにも同じ事を言うのだが、やはり数年後には同じことを繰り返すのでは・・・と思わせる、なんとも皮肉っぽい終わり方。
解説では、《廣島廿八》(1974年の作品)がテヘラン映画祭に招かれたが、送ったフィルムが紛失し上映できなかった。翌年再びテヘラン映画祭へ参加、監督の龍剛はこの機会にみなを連れ当地を訪れこの作品を撮った、とある。エキゾティックな風景の中で展開される恋物語りは、へたすれば、かなりやすっぽい感じになりかねないが、張艾嘉のおかげか意外に見られる。
2010.4.25@香港電影資料館(作者本色:龍剛電影)


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