海洋天堂

《海洋天堂》李連杰ジェット・リー)、文章(ウエン・チャン)、桂綸鎂(グイ・ルンメイ)、朱媛媛 
薛曉路:監督


自閉症の息子・大福(文章)を持つ父・王心誠(李連杰)は、水族館で電気系統の仕事をしている。母は大福が子供のころ事故でなくなり、父が1人で大福の面倒をみている。大福は父とともに毎日水族館にやってきて、魚と一緒になって泳いでいる。父は「大福はさかなが人間に生まれ変わったのだ」と水族館の館長に話す。いっぽうで父は自分が末期癌で余命幾ばくもないことを知り、自分亡き後の息子の委託先を考える必要に迫られている。父は方々の施設を訪ねたり、電話をしたりしているが、21歳になった息子を預かってくれる施設は見つからない。1人で生活できるようにと、さまざまな事を息子に教えこもうとするのだが・・・・。


李連杰が今の時代の父親を演じるということ自体が衝撃だが、強くなどない、むしろ弱い父親を演じている。眼鏡をかけた父親役に違和感はない。息子との会話、隣家の雑貨店の女性との心の触れあいも、以前の李連杰からは考えられない演技で刮目に値する。
薛曉路は、陳凱歌(チェン・カイコー)監督《北京バイオリン》の脚本家で、これが初監督作品。そのためか凝った演出はなく、催涙弾映画にしては、泣かそう泣かそうという姑息な手段は見られない(出来ないのかもしれないが)。そしてかなり綺麗綺麗な教育的映画になっているとは思うが、それでも十分に子供を思う父親の気持ちは分かるし、弱者には心の通った適切なケアが必要なことも理解できる。涙腺の弱い私は、幸いというべきか不幸にもというべきか土曜日昼間の回は観客が少なく、おもいっきり涙した。
なお、美術は奚仲文(ハイ・チョンマン)、カメラはクリストファー・ドイル、音楽は久石譲、オープニングには桂綸鎂の歌、エンディングには周杰倫ジェイ・チョウ)の曲と、贅沢な作り。
2010.6.26@旺角百老匯


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