艷屍還魂記

《艷屍還魂記》
張活游、白燕、容小意、盧敦、李月清 
李晨風:監督 1956年 モノクロ


父の病気のため急ぎ田舎へ帰る柳夢梅(張活游)は、ある雨の夜に美しい娘(白燕)に出会うという夢を見る。同じころ娘も同じ夢を見ていた。田舎に帰り着いた柳夢梅、実は父の病は姉の嘘で、柳夢梅を田舎に呼び寄せ嫁を取らせようと考えていたことを知る。しかし柳夢梅は思う人があるので、彼女を捜したいと話し、旅に出る。そのころ娘も夢の中で出会った柳夢梅が忘れられない。ところが父が勝手に資産家の従兄との縁談を決めてしまい、思い悩み、ついには病に伏せってしまう。いざ祝言という日、娘は1枚の絵を残して亡くなる。
それから3年後、柳夢梅は雨の夜道に迷い、ある屋敷に助けを求める。屋敷の管理を任されている男は一度は断るが、雨の中倒れた柳夢梅を屋敷に運び入れる。柳夢梅は男から屋敷にまつわる話を聞き、自分が焦がれる人がこの屋敷の娘であり、すでに亡くなっていることを知るが、柳夢梅の前に娘・杜麗娘の幽霊が現れる。2人は再会を喜び、逢瀬を楽しむ。しかし男の報告で娘の幽霊が徘徊すると知った父は、道士を呼んで幽霊を退治、柳夢梅を屋敷から追い出す。柳夢梅は傷心、家にたどり着き病に伏せる。そこへ杜麗娘の元・侍女がやってきて、杜麗娘はある娘の肉体を借りて乗り移るので、その娘と祝言をあげるように話すのだった・・・。


《牡丹亭》を元にして、時代を民初に置き換えた物語。
雨の夜に柳夢梅が杜麗娘の邂逅場面が印象的な映画。柱の影から見える杜麗娘の姿や、杜麗娘も柳夢梅を気に入って、侍女に言って、雨で濡れている柳夢梅に熱いお茶を振る舞う。この短い邂逅場面だけで、2人の心を描ききってしまう。さらにやっと巡りあえた2人が、幽霊が出るお化け屋敷ともよばれるようになった人のいない屋敷で、ふざけて逃げる杜麗娘を柳夢梅が追いかけ回すという場面も、その後の香港映画にもよく見られるシーンだった。
2011.6.26@香港電影資料館「人人為我、我為人人:中聯電影」


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